【話の泉ー笑い】 その二十七 落語 その2 落語の成立

落語の成立についてです。世界百科事典によりますと、もともと1681年から1688年にかけての天和・貞享時代に上方を中心に「軽口」「軽口ばなし」と呼ばれました。しかし、上方の衰退期といわれる1764年から1781年の明和・安永時代の終わり頃になると、江戸に移って江戸小噺時代になります。その頃は「おとしばなし」と呼ばれました。「らくご」と読むようになったのは1887年頃といわれます。このように落語の成立期や熟成期は、江戸時代後期から幕末、そして明治時代にかけて形づくられたといわれます。落語が普及したのは昭和に入ってからです。

One man story teller

時代の暮らしぶりや風俗を背景にしたものが演目の中心です。武士や大名も登場しますが、圧倒的に多いのが江戸期の町人であり長屋の住人である職人らの庶民です。彼らは生きいきと描かれ,権力におもねることなく、むしろ権力をあざ笑う庶民のうっぷん晴らしの芸として語り継がれてきました。

落語の基本構成は「マクラ」「本題」、そして「オチ(サゲ)」からなります。マクラは導入部で、ごく自然に本題に入るための流れをつくります。そこが噺家の腕とされます。噺家は「マクラ」を喋るのではなく「マクラを振る」といいます。

本題につづいて「オチ」で噺を締めるのですが、オチのない人情噺では「〜〜という一席でございます」などの言葉で締めるようです。例えば『八五郎出世』という演目では、調子者の八五郎の妹お鶴が側室となり子どもを生みます。その慶事に八五郎は殿様に招かれ都々逸などを披露し、それにより仕官にとりたてられるというお目出度いところで終わります。

【話の泉ー笑い】 その二十六 落語 その1 古典落語と創作落語

庶民の楽しみ

私が落語を嗜むようになったのは定年退職後です。それまでは、仕事が特に忙しかったわけでもなかったのですが、他にマラソンをやったり藤沢周平の本を読んだり、カメラをいじったりして落語を楽しむ余裕がありませんでした。

iPodを手にしてから、さてなにを入れようかとしたとき、音楽に加えて落語が有料、無料でネット上で沢山あることを知りました。それ以来iPodに落語をため込んでは歩きながら、山登りを楽しみました。落語の楽しみが少しずつわかり始めました。それは演目もさることながら、噺家によって落語の内容が聞き手に異なって伝わることでした。一つの演目をいろいろな噺家で聞くという贅沢さが楽しくなりました。

江戸時代の噺家

落語は、「落とし話」といわれるように大抵の場合そのお終いに「サゲ」とか「オチ」があります。英語では「punchline」といいます。これを期待して聞き手はどんなサゲなのか、とワクワクしながら待つのです。古典落語はレパートリーが決まっているので、演者の語り口の違いを楽しむことになります。さすがに名人と呼ばれる噺家の語りには聞き惚れます。それからは、新作落語とか創作落語も楽しむようになりました。今や新作落語は、古典落語と並んで落語の大事な幹といわれます。

関西の落語は上方落語と呼ばれます。その中心が、上方落語専門定席の「天満天神繁昌亭」でしょうか。上方言葉の独特な響きが快いです。名人、古今亭志ん朝のように京言葉や大阪言葉などを使い分ける演者も多くなりました。どの噺家も言葉の会得には時間をかけていることがわかります

新作落語は年代的には若手の噺家によるものが多いといえます。例外は、上方落語の名人、桂三枝、今の六代目桂文枝です。お歳は82歳ですが、その創作力には驚くほどです。彼は、「新作落語はおおむね、時期が過ぎたらそのネタを「捨て」ざるを得なくなる運命にある」として、「創作落語」と呼んでいます。この発想は頷けます。柳家喬太郎の「ハワイの雪」という人情噺や「寿司屋水滸伝」という創作落語にもサゲが待っています。どちらも落語の主柱として高度な技芸を要する伝統芸能に間違いありません。もっと創作落語も親しみ笑いたいものです。

【話の泉ー笑い】その二十五 ピーナッツと親愛なる友人たちへ

今回で【ピーナッツ】のシリーズは終わりです。2000年1月3日、『ピーナッツ』最後の日刊コミックが発行されます。そのストリップには、シュルツが読者に宛てたメモと、タイプライターを前にしたスヌーピーが犬小屋の上に座って深く考え込んでいる絵が描かれています。翌日からは、再放送のパッケージが発刊されます。シュルツは体調不良で1月3日以降に連載されるストリップを5本描いていました。その最初のものは1月9日に掲載されます。

Wonderful Peanuts!

2000年2月13日、シュルツは亡くなります。その日、ピーナッツ史上最後の新しいストリップが新聞に掲載されます。3コマで、チャーリー・ブラウンが電話に出るところから始まり、相手はスヌーピーを呼んでいると思われる人物です。チャーリー・ブラウンは 『いや、彼は手紙を書いていると思います 』と答えます。次のコマでは、スヌーピーがタイプライターの前に座り、”Dear Friends “宛ての手紙の冒頭が描かれています。最後のコマは、大きな青空を背景に、過去に描かれた10枚の絵が配置されています。その下には、シュルツから読者へのメッセージがあります。その内容は次のような言葉です。

Snoopy hit home run!

『親愛なる友人たちへ
私は幸いにして50年近くもチャーリー・ブラウンとその仲間たちを描いてきました。これは、私の子どもの頃の夢を実現するものでした。しかし、残念なことに、私はもう毎日漫画を描くことができなくなってしまいました。私の家族は「ピーナッツ」を他の人に続けてもらいたくないと言っているので、引退を決意することとしました。長い間、編集者の方々の献身さ、そしてコミック・ストリップの読者が私に寄せてくれた素晴らしい激励と愛情に感謝しています。チャーリー・ブラウン、スヌーピー、ライナス、ルーシー、……彼らを忘れることはできないでしょう。  チャールズ・シュルツ{署名}』

【話の泉ー笑い】その二十四 「精神分析スタンド」とアドバイス

ルーシーは時に「精神分析スタンド」(Pychiatric Help)という相談室を自作してカウンセラーとしての相談料をとるなど、ちゃっかりしたキャラクターです。アメリカの多くの子どもたちは夏休み中などで道路際でレモネードスタンド(lemonade stand) を立てます。このことをパロディ化したものなのです。ブースの正面には、「The Doctor is」と書かれたプラカードがあり、「In/Out」のプラカードが立っていて、ドクターが在席しているかを示します。彼女は5セント(約7円)で精神分析をしアドバイスしてくれるのです。たいていは心配性のチャーリー・ブラウンにアドバイスをするのですが、、、、。

Psychiatric Stand

ルーシーのアドバイスは、通り一遍の大衆心理や、陽気で明白な真実、時に洞察に満ちた調査など多岐にわたるので笑いを誘います。例えば、スヌーピーの治療中にルーシーが、子どもの頃、家族の中の他の「犬」とどのように関わっていたかを尋ねる場面があります。言うまでもなく、スヌーピーはこの質問を無視するので笑えます。外で寝るのが怖くなってしまったスヌーピーのために、チャーリー・ブラウンはルーシーに相談して精神分析スタンドで診てもらうことにします。夏の最中なので、立て札には相談料は割引きで4セントにします。無事にスヌーピーの不安は消えるのですが、チャーリー・ブラウンのもとには何と多額の請求書が送られてきて・・・。

The doctor has changed.

相談にやってきたライナスは、ルーシーのアドバイがわかりません。ルーシーは「理解できるような助言はきかないこと、、、全然役に立たないにきまっているから」と煙に巻くようなアドバイスをしたり、、「いつかは大人になって、誰の助けも借りずに、人生と向き合わなければならないのよ、、、」と深い名言をはいたりします。スヌーピーもそれに真似てか、「もし何かをやり遂げたいのなら自分でやるべきだよ!」とアドバイスをします。

ライナスが「新しい算数は難しすぎる、、」と相談にやってきます。ルーシーは「できるわよ、、時間がかかるだけなんだから、、」と励まします。スヌーピーは仲間にいいます。「口先ばかりの心のない言葉は、なんの役にも立たないよ」。そして草野球で負けても「昨日から学び、今日を生き、明日に期待すること」(Learn from yesterday, live today, and look forward to tomorrow) 。こうした会話が生まれるのは、ルーシーが作った「精神分析スタンド」のお陰なのでしょう。

【話の泉ー笑い】その二十三 「ピーナッツ」と社会の多様性

1960年代は、一般に「ピーナッツ」の「黄金時代(Golden Age)」と考えられています。この時期には、ペパーミント・パティ(Peppermint Patty)、「第一次世界大戦の空飛ぶエース」としてのスヌーピー、「天然の巻き毛」のフリーダ(Frieda)、フランクリン(Franklin)など、よく知られたテーマやキャラクターが登場します。ピーナッツは、1950年代から1960年代前半に描かれた他の作品と比べると、特にその巧みな社会批判が際立ってきます。シュルツは、人種や男女の平等の問題をあからさまには取り上げませんでした。シュルツにとって、「権利は平等である」というテーゼは自明のことだったようです。チャーリー・ブラウンの野球チームに女の子が3人いたことも、少なくとも10年は時代を先取りしていたといえるのです。当時、女性が野球をすることはなかったのです。ペパーミント・パティのしなやかな運動神経と自己肯定感は当然のことであり、女性の進出は当たり前だと考えていたのです。

Franklin and Charlie Brown

1968年7月にシュルツはロサンゼルスの白人教師ハリエット・グリックマン(Harriet Glickman) の勧めで、アフリカ系アメリカ人のキャラクター「フランクリン(Franklin)」を4コマ漫画に登場させます。1968年はテト攻勢(Tet offensive) が始まりベトナム戦争の潮目が変わる頃です。シュルツは、黒人のキャラクターを加えることはアフリカ系アメリカ人のコミュニティを見下すことになると懸念しましたが、グリックマンは、黒人のキャラクターを加えることは、異なる民族の子どもたちの友情という考えを広めるのに役立つと説得したといわれます。フランクリンは、海辺を舞台にした3部作に登場し、まずチャーリー・ブラウンのビーチボールを水中から取り出し、その後、砂の城を作るのを手伝い、その間に父親がベトナムにいることを口にするといった場面が出ます。フランクリンが近隣に住み、地域の学校に通うのも当たり前のこととして描きます。フランクリンの誕生は、1968年にシュルツが社会主義的なファンとの間で交わした手紙の結果であったといわれます。

シュルツは、他にもさまざまなテーマに対して風刺的な言葉を投げかけています。彼の子どもや動物のキャラクターは、大人の世界を風刺していきます。長年にわたり、彼はヴェトナム戦争から学校の服装規定、「新しい数学(New Math)」まで、あらゆることに取り組んでいきます。1962年5月のあるトピックには、「自由を守れ、アメリカの貯蓄債券を買え」と書かれたアイコンまでありました。1963年には、「5」という名前の少年をキャストに加え、その姉妹は「3」と「4」という名前とし、父親は彼らの家族名を郵便番号に変更するというコマを描きます。シュルツは、番号が人間のアイデンティティを支配する手段になると懸念し疑問を投げかけるのです。

また、近所の子どたちが雪だるま作りのリーグに参加しますが、チャーリー・ブラウンがリーグやコーチなしで自分で雪だるまを作ろうとするのです。ですがリトルリーグは、チャーリー・ブラウンらの行動を批判する場面があります。シュルツは、大人が支配するリトルリーグやお膳立てされた「組織的な」遊びを揶揄するのを忘れません。

「ピーナッツ」では、特に1960年代には、何度も宗教的なテーマに触れています。1965年のテレビ番組「チャーリー・ブラウン・クリスマス」では、ライナス・ヴァン・ペルト(Linus van Pelt)が欽定訳聖書(King James Version of the Bible)(ルカ2:8-14)を引用して、チャーリー・ブラウンにクリスマスとは何かを説明しています。シュルツは個人インタビューで、ライナスは自分の精神面を表していると述べています。「チャーリー・ブラウン・クリスマス」では宗教的な内容が明示されているため、シュルツの作品には明確なキリスト教のテーマがあると解釈する人も多いくらいです。

【話の泉ー笑い】その二十二 ルーシーと野球と

野球はアメリカの魂のスポーツといわれます。そのためか、「ピーナッツ」には野球をめぐる笑いやユーモアのコマが目立ちます。チャーリー・ブブラウンはチームの監督であり、通常は投手であり、他のキャラクターはチームの他のメンバーとなっています。チャーリー・ブラウンはひどい投手であり、彼の努力にも関わらず打ち込まれたり、メンバーは彼をマウンドから叩き落とし、パンツ一枚にさせてしまうこともあります。しかし、チャーリー・ブラウンはごく稀な例外を除いて毎試合登場し、雨が降ってチームのみんなが帰宅してもその場に留まるのです。

Lucy

チャーリー・ブラウンは何度負けても、シーズン開始時には楽観的で、いつも「優勝まであと一歩、あと一歩」と励まします。チャーリー・ブラウンさえも「なぜか勝てない」と呟くのですが、チームは何度か勝利しており、そのほとんどはチャーリー・ブラウンがいないときなのです。そのため、チャーリー・ブラウンはいつもこの事実を深く悲しくは思っています。

チャーリー・ブラウンは、スタンドにいる赤毛の少女に気づいて、とても緊張します。チャーリー・ブラウンは、スタンドにいる彼女に気づくと、体が震えてピッチングができなくなり、ライナスに交代してもらうほどです。チームが勝った後、赤毛の少女はライナスを抱きしめて駆け寄るのです。

ロヤンヌ(Royanne Hobbs)と対戦したチャーリー・ブラウンは、初のホームランを打ちチームの勝利に貢献します。再びロヤンヌと対戦し、チャーリー・ブラウンは再度ホームランを打ち、チームのために試合に勝ちます。ロヤン・ホブスが後でチャーリー・ブラウンにホームランを打たせたことを認めると、チャーリー・ブラウンはショックを受けるのです。

【話の泉ー笑い】その二十一 ピーナッツと野球

原作者のシュルツは、登場するキャラクターのスポーツを通して、試練や達成感、喜怒哀楽をユーモラスに描いています。弱小草野球チームの監督兼投手がチャーリー・ブラウンです。メンバーの放言と好き勝手な行動に呆れ、連戦連敗にへこみ、ピッチャー返しで吹っ飛ばされ続けても、彼の野球愛はとどまることをしりません。 負けたチームから「君のチームに負けたせいで馬鹿にされている」と抗議されるほどなのです。勝ったのはライナスの弟リラン(Rerun) が出場した試合と、チャーリー・ブラウンが参加していない試合のみです。映画「スヌーピーとチャーリー」では、負傷し退場した場面もでてきます。

Ahuuu!

一見すればチャーリー・ブラウンが無能だからと思われがちですが、実際はルーシーを始めとするチームメイトのやる気と協調性の無さもあり、必ずしも彼一人のせいではないのですが、、、。実にコミック始まって以来43年目の1993年に発表されたエピソードでは生涯初のホームランを打ち、サヨナラ勝ちを記録しているほどです。また、ある回では試合には負けたもののルーシーを外した試合で善戦したこともあるくらいです。このときの敗因は、ボールをキャッチをしようとしたスヌーピーにルーシーが野次を飛ばし、エラーをさせたためです。

Peanuts gangs

アメフトのコマでは、ルーシーが押さえているボールをチャーリー・ブラウンが蹴ろうとするとルーシーが直前にボールを取り上げてしまい、チャーリーは派手に転倒します。ルーシーはこれを気に入っているようで折にふれてチャーリー・ブラウンを誘おうとし、チャーリー・ブラウンも彼女に乗せられる形でいつも醜態をさらしてしまうのです。ある時、チャーリー・ブラウンがボールを蹴ろうとした足がルーシーの手に当たってしまい、骨折させたことがあります。その後、ルーシーがリランにボールを託したためにボールを蹴られ、ルーシーは大変悔しがる場面があります。

ペパーミント・パティは、勉強が苦手で成績はDマイナスが多いのです。一度Zマイナスにされたこともあり、この時はさすがに「これは評価ではなく私に対する皮肉です」と校長へ抗議を申し入れ、Zにまで上げさせたことがあります。スポーツは得意で、野球チームも持っていて、チャーリー・ブラウンのチームにはいつも圧勝しています。パティは都合の悪いことがあると根拠もなく他人のせいにする悪い癖がありますが、チャーリー・ブラウンを「チャック(Chuck)」と呼び、思いを寄せている女の子です。

【話の泉ー笑い】その二十 スヌーピーとの友情

チャーリー・ブラウンが幼いころ、砂場で遊んでいる最中にほかの子に頭から砂をかけられて大泣きし、翌日両親から買い与えられたのがビーグル犬スヌーピーとの最初の出会いです。餌を与える行為以外では一緒にゴルフをしたりカヌーを漕ぎに行くなど完全なパートナーです。スヌーピーを飼い犬としてだけでなく、何よりも大切な存在と思っていて、彼のために学校を辞めようとしたことすらあります。

肝心のスヌーピーからは「丸頭の子」と認識されていて、名前すらまともに覚えられておらず、また主人と飼い犬との立場を入れ換えるような会話をしていたときもあります。その時スヌーピーが「ぼくが主人とばかりに思っていたけれど」とチャーリー・ブラウンに対して発言したこともあるくらいです。

come on Snoopy!

しかし、この思いは一方的というわけでもなく、スヌーピーもチャーリー・ブラウンに信頼を抱いており、チャーリー・ブラウンが家族とともに出かけたときは「丸頭の子はぼくを捨てたりしないよね?」と寂しがる言動もあります。スヌーピーの型破りな行動に振り回されることも多く、「どうして僕は他の子のように普通の犬を持てないんだ?」と愚痴るのが定番となっています。

ペパーミント・パティ(Peppermint Patty) の野球チームと試合をした際、自分のチームの攻撃で相手ピッチャーのペパーミント・パティの投じたボールがバッターのスヌーピーの頭を直撃。チャーリー・ブラウンはパティがビーンボール(pin ball) を投げたとして激怒し、試合放棄したこともあります。スヌーピーとの間柄を語るエピソードです。

Snoopy hit home run!

勝試合がないチームの監督兼ピッチャーのチャーリー・ブラウンは何とかしようと頑張るのですが、チームメイトはバラバラ・・・。そんな時、ユニフォームを揃えてチームを元気づけようと画策します。いろいろな大人に働きかけると、練習道具やユニフォームを揃えてくれるというスポンサーが現れます。チャーリー・ブラウンはスポンサーにチームのメンバーを紹介し、ユニフォームのサイズを伝えます。

Snoopy’s butting

ところが予定のスポンサーは、リーグがルーシーという女の子や犬のプレーを認めていないことを理由に、チャーリー・ブラウンのチームを応援できないというのです。そしてルーシーとスヌーピーを解雇するようにいいます。チャーリー・ブラウンは憤然としてスポンサーの申し出を断るのです。

【話の泉ー笑い】その十九 ピーナッツとチャーリー・ブラウン

「ピーナッツ」の原点は、1947年から1950年までシュルツの故郷であるミネソタ(Minnesota)の州都セントポール(St. Paul)にあった新聞「セントポール・パイオニア・プレス(St. Paul Pioneer Press)」に毎週掲載されたコマ漫画「リリーフォクス(Li’l Folks)」です。「Li’l Folks」とは小さき人々とか、取るに足らないもの、つまらないもの、という意味です。この漫画の細部には、ピーナッツと共通する部分がありました。チャーリー・ブラウン(Charlie Brown)」という名前はそこで初めて使われたといわれます。また、このシリーズには、1950年代前半のスヌーピー(Snoopy)によく似た犬も登場していました。

Charlie Brown and Snoopy in the Classroom


チャーリー・ブラウンはスヌーピーの飼い主であり、妹はサリー(Sally)。両親はいるようですが、他の大人と同様作中には姿を見せません。親友は毛布を片時も手放さないライナス(Linus)。級友であるルーシーにいつも小煩く言われたり丸め込まれたりします。チャーリーという名前から、読者からはよくチャールズ・シュルツの分身と思われたようですが、チャーリー・ブラウンという名前はシュルツの美術学校時代の級友からきているといわれます。

At Spelling Bee Contest

ただ、シュルツはインタビューで「チャーリー・ブラウンは僕自身でもあるんだ」と答えたことがあるようで、彼の持つ気苦労などがチャーリー・ブラウンに反映されたりすることはあると述懐しています。シュルツの父親は床屋を経営していました。シュルツによればチャーリー・ブラウンはきれいな金髪であるために髪が薄く見えるだけで、丸坊主ではないそうです。実際の作画でも前髪と後頭部の毛が描き込まれ、濡れ髪では実線で描かれています。スヌーピーにいわせれば、主人のチャーリー・ブラウンあくまでも「丸頭の子」(“round-headed kid”)であり「禿頭の子」ではありません。

Happiness with Snoopy

チャーリー・ブラウンは、自他共に認める冴えない人柄であり、とにかく女運が悪く、ヴァイオレット(Violet)やルーシーなどの女子の「いじめ」相手になっていた時期もあります。考え方にもどこか卑屈なところがあって、敗者や弱い立場の人たちに同情することが多い子です。他者への思いやりは人一倍強く、いつもはチャーリー・ブラウンをいびるルーシーも彼が病気になると落ち着きをなくすのです。「赤毛の女の子」(little red-haired girl)に片想いし、後にサマーキャンプで出会ったペギー・ジーン(Peggy Jean)と恋仲になりますが、いずれも報われないまま終わったり、自分だけバレンタインカードが貰えなかったりします。友達のライナスには好きな女の子を奪われるなど、恋愛運は悪いのがチャーリー・ブラウンです。

【話の泉ー笑い】その十八 ピーナッツ(Peanuts)の漫画

今回からは漫画(cartoon)の世界の笑いを取り上げます。老若男女問わず、世界上で人気を維持しているのが「ピーナッツ(Peanuts)」というアメリカンコミック(Ameeican comic)です。主人公はチャーリー・ブラウン(Charlie Brown)という男の子。彼は他者への思いやりは人一倍強く、忠誠心が強く決断力があり、ちょっと気まぐれなところもあります。献身的な野球のマネージャーでもあり、あきらめるべきときでも、決してあきらめない頑固さも備えています。

Peanuts Gang

その飼い犬であるスヌーピー(Snoopy)は、今も人気は抜群です。ビーグル(beagle)犬のスヌーピーは、実は可愛いだけではなく、どこかゆる〜くのんびりと朗らかなイメージで周りを癒し、犬ながら深い名言をたくさん残しています。チャーリー・ブラウンは愛犬スヌーピーの世話に関してはとても責任感があります。彼は、もともと親切で忍耐強い性格で、自分の心を無にするかのように他人を助けるのが好きなのですが、自分自身はどうにもならないという性格です。

”空振り三振”

「ピーナッツ」は、チャールズ・シュルツ(Charles M. Schulz)が作・画を担当し、毎日曜日の独占形態となっていたコミックです。1950年から2000年まで連載され、その後も再放送されています。「ピーナッツ」は、コミック漫画の歴史の中で最も人気と影響力のある作品の一つであり、全部で17,897の4コマ(ストリップ)が掲載されています。というわけで「間違いなくチャールズ・シュルツという一人が語った最も長い物語」になっています。2000年にシュルツが亡くなった時点で、「ピーナッツ」は2,600以上の新聞に掲載され、75カ国で約3億5,500万人の読者を獲得し、21カ国語に翻訳されたという歴史があります。アメリカでは、4コマのギャグを標準的なものとして定着させました。

精神分析スタンド

「ピーナッツ」には大人は存在するものの、ほとんど登場しません。幼い子どもたちのコミュニティだけに焦点を当てています。主人公のチャーリー・ブラウンは、おっとりとして、繊細な性格を有していますが、自分にあまり自信がありません。凧を揚げることも、野球に勝つことも、いらいらしがちな友達のルーシー(Lucy)が持っているサッカーボールを蹴ることもできません。いつも最後の瞬間にドタキャンされるのです。ですがそのユーモアは心理的に複雑で、登場人物の相互作用や関係性によって描かれます。この漫画は、アニメーションや演劇で脚色され全世界で親しまれている作品です。