聖書の中の女性の生き方 その二十 「シオニズム」

pic2 palestine3 02b 202471_a_palestinian_child_sits_above_the_ruins_of_his_ruined_home1時代を経て、イスラエルの地に故郷を再建しユダヤ教を中心としたイスラエル文化の復興という近代的運動が起こります。これがシオニズム (Zionism)です。この運動を最初に唱道したのはモーゼス・ヘス (Moses Hess)というユダヤ系のドイツ人哲学者です。

ヘスは、歴史を次のように把握します。すなわち、歴史とは民族の囲み合いであり国家間の闘争であるというのです。1800年代になるとイタリアで民族主義が台頭しドイツもまたそうした主義に呼応していきます。

イタリアの中部を旅行しますと城塞都市があちこちに見られます。中世以降、イタリアは都市を中心とした小国に分裂していたことが分かります。こうした小さな国家はオーストリアやスペイン、フランスの後ろ楯で権力争いが行われていた歴史があります。こうしてイタリアの統一と独立の機運が起こるのです。これがイタリアの民族主義運動です。さらにドイツを中心にに反ユダヤ主義 (anti-semitism)も勃興します。Anti-semitismとはユダヤ人に対する敵視、偏見、差別意識のことです。歴史学者のハインリヒ・トライチュケ(Heinrich Treitschke) がユダヤ人、社会主義、普通選挙などを強く排撃します。反ユダヤの言動は後年のナチスによって継承されます。とまれ話はいささか進み過ぎました。

少し時代を戻します。ユダヤ人の同化主義(assimilationism) が広まります。ヘスはこうした同化主義に対して、1862年に「ローマとエルサレム」(Rome and Jerusalem)という本の中で「ドイツ社会はユダヤ人に対して寛容ではない。ユダヤ人は自分の民族性を否定することによって他の民族の軽蔑を招いている、反ユダヤ主義には、パレスチナ地にユダヤ人社会主義共和国(Jewish socialist commonwealth)を建設することで対抗すべきだ」と主張します。ヘスはナチズム(Nazism)をすでに予言していたといえます。

Encyclopedia Britannicaによりますと、ヘスは1897年の8月にスイスのベーゼル(Basel, Switzerland) においてシオニスト世界会議(World Congress of Zionists)を主宰し、世界シオニスト機構 (World Zionist Organization) の初代会長となります。イスラエルが独立を宣言したのが1948年です。ヘスは独立の40年前に他界します。

失われた祖国イスラエルを取り戻すシオニズム運動の活動家の一人にセオドア・ハーツル(Theodor Herzl) がいます。ジャーナリストや作家として1895年に「The State of the Jews」という本をあらわします。ハーツルはヘスを高く評価し、 ユダヤ系オランダ人の哲学者、スピノザ (Baruch Spinoza) を凌ぐ哲学者であると書いています。ハーツルもまた後に世界シオニズム機構で活躍します。

ユダヤ人は1948年5月にイスラエル独立を宣言します。これに対しアラブ諸国はパレスチナ人を支援するためパレスチナに侵攻、第一次中東戦争が勃発します。国連の仲介により両陣営は6月11日から4週間の停戦に至ります。これ以来四度にわたる中東戦争が続きます。

1956年10月、エジプトのナセル大統領 (Gamal Nasser)のスエズ運河(Suez Canal)国有化宣言に対応して、英・仏・イスラエル連合軍がスエズ運河に侵攻し、第二次中東戦争が起こります。イスラエルはゴラン高原 (Golan Heights)やエルサレム旧市街を含む東エルサレムとヨルダン川西岸(West Bank)を占領します。さらに1967年5月に6日間の第三次中東戦争、そして1973年10月にはエジプトとシリアによるイスラエルの奇襲、いわゆる第四次中東戦争へと続きます。

1978年9月にイスラエルの占領地からの撤退とパレスチナ人の自決権についての合意がなります。これが「キャンプ・デービッド合意」(Camp David Accords) です。この合意によりシナイ半島(Sinai Peninsula)はエジプトに返還されますが、パレスチナの自治については協議は決裂します。その後パレスチナ人の統治について協議を開始しますが、今もパレスチナ問題は根強く続いています。

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