アメリカの文化 その19 Daylight Saving Time

イースターが過ぎると急速に日が長くなる気がしてきます。ベンジャミン・フランクリン(Benjamin Franklin)という政治家で著述家、物理学者をご存知と思います。この人はアメリカの100ドル紙幣に印刷されています。凧を用いた実験で雷が電気であることを明らかにしたことでも知られています。意外なことに彼は、現在140か国で採用されている「サマータイム」(Daylight Saving Time: DLS)の創案者なのです。今回の話題はこの「サマータイム」です。

DLS は世界中の40%位の国々で使われています。日本は1948年に一度採用されますが、1951年に廃止となります。DLSの趣旨は、夏の太陽–日照時間をより有効に活用しようということです。アメリカでは、毎年3月14日に時計を1時間進め、11月7日に1時間戻すことになっています。最初にDLSを取り入れた国はドイツです。1916年4月30日に時間を進めたのです。それを遡る1908年に、カナダのオンタリオ州(Ontario)にあるサンダーベイ(Thunder Bay)の街でDSLを取り入れたという記録があります。

ベンジャミン・フランクリンがDSLの概念を提案したのは、1784年といわれます。アメリカの独立宣言から8年後のことです。現在使われているDSLの正式な提案は1895年になされます。その間、ニュージーランドのジョージ・ハドソン(George Hudson) という昆虫学者が2時間の時刻を早める提案をします。そしてアメリカでは1918 年に国としてDLSを採用することになります。だた、今もってアリゾナ州(Arizona)の一部やハワイ州(Hawaii)は珍しくDLSを採用しない州となっています。

DLSの評価についてです。日付けを1時間早めることにより、夕方に消費する燃料を節約できるといわれます。しかし、この考え方は見解が分かれています。さらに DLSは車を運転する時間中の交通事故や怪我を減らせることができるという研究もあります。DLSの採用によって、人によっては健康を害するという研究もあります。なんとも悩ましいDLSという慣行です。