音楽の楽しみ その26 合唱曲の数々 「五木の子守唄」

北大合唱団の大事なレパートリーに子守唄がありました。古今東西を問わず、各地に子守唄があります。世界的に有名な子守歌もよいのですが、熊本県は球磨郡五木村に伝わる「五木の子守唄」はしみじみとした哀愁のある曲です。一体どのような人々が歌詞を考え、旋律をつけたのかと感服したい程です。

Wikipediaによりますと、子守唄には二種類あって、第一は赤ん坊を寝かしつけるための子守唄、第二は子守り娘たちが仕事の辛さを歌った子守唄です。後者は「守り子唄」といって子守をする少女が、「自分の不幸な境遇などを歌詞に織り込んで子供に唄って聴かせ、自らを慰めるために歌った歌」とあります。「五木の子守唄」は守り子唄の代表のようなものです。

五木村の総面積の96%を山林が占めます。村人の多くは地主の下で林業に従事したり、借り受けた僅かばかりの土地で農業を営んだようです。家が貧しいために子供たちは口減らしのために、近隣の人吉や八代の豊かな商家や農家に奉公に出されました。

おどま盆ぎり 盆ぎり
   盆から先ゃ おらんど
    盆が早よ来りゃ 早よもどる

「おどま」は「私たちは」、 「盆ぎり」は「お盆まで」、「おらんど」は「いないよ」という方言です。「私は、盆までの約束で、この家で奉公をしています。盆が来れば、家に戻れます。早く盆よ、来てくれ」と家へ帰れる日を待つ気持ちを歌います。

おどま かんじん かんじん
   あん人達ゃ よか衆
    よかしゃ よか帯 よか着物

「かんじん」とは、小作人という意味で、ここでは「物乞い」という意味で用いられています。「よか衆」とは地主などの旦那衆を指します。「私は乞食のようなものだ。(それにくらべて)あの人たちはで、良い帯を締めて立派な着物を着ている」という歌です。

生活を見つめることによって、はじけるような心情を吐露しています。きっと苦労していたから、こうした名作が生まれたと信じたいです。作詞者はなんという素晴らしい感受性の持ち主ではないでしょうか。

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