素人のラテン語 その五  ラテン・アメリカとラテン語

ラテン・アメリカ(Latin America)とは、北アメリカと南アメリカの諸地域を指します。メキシコ以南の大陸とカリブ海地域の諸島の総称です。こうした地域では、ラテン語系のスペイン語、ポルトガル語、フランス語などが公用語となっています。「中南米」という地理学的な呼び名もあります。その名のとおり、スペイン、ポルトガルによって代表されるラテン系ヨーロッパ文化がこの地域の文化的な骨格を形成しています。

  イタリア人、コロンブス(Christopher Columbus)の到着以前から住んでいた先住民族は、いまも原住民語を話しています。インディオ(Indio)の先住民文化、奴隷として連れてこられたアフリカ人の文化、そしてヨーロッパ人の文化が葛藤したり融合することによって独自の文化形成に役割を果たしてきました。宗教においてもカトリック教会の影響が卓越しています。

ラテン音楽についてです。世界大百科事典によりますと、先住民の音楽、アフリカの音楽、ヨーロッパの音楽が融合したのが、通称ラテン音楽と呼ばれます。ラテン音楽はメスティーソ系(Mestizo)とムラート系(Mulatto)に分けられます。メスティーソ系とはヨーロッパ系とラテンアメリカの先住民の混血である人々であり、ムラート系とはヨーロッパ系白人と、アフリカ系黒人との混血を指す言葉です。当然、ラテン音楽はこのメスティーソ系とムラート系があることになります。

メスティーソ系音楽は、ヨーロッパの要素が強く、ギターが楽器の中心となります。民族舞踏と結びつき、6/8拍子のリズムが多くなります。ペルーやボリビヤなどのアンデス高原の先住民族の伝統が残り、ケーナと呼ばれる笛など、スペイン人侵入以前のなごりを留める楽器が使われます。

ムラート系のラテン音楽はヨーロッパとアフリカの音楽の融合が特徴といわれます。カリブ海の島々、パナマ、コロンビア、ベネズエラ、ブラジルなどの分布しています。ギターも盛んに用いられますが、打楽器が中心となり、1/2拍子のリズムが多く、踊りとも結びついています。即興的で自由であり1/2, 2/4拍子の単純なパタンの反復ものが多いのも特徴といえます。