この曲名は「Sometimes I Feel like A Motherless Child」と云います。は、19世紀アメリカで生まれた伝統的なスピリチュアルソングの一つです。
親から引き離されてアフリカからアメリカへ奴隷として連れて来られた人々の歌です。二度と生きて母親には会えないという過酷な運命を顧みながら、その境遇が時々「母のない子のように」感じられると嘆き悲しむ黒人労働者たちの歌です。不思議なことに奴隷制度への憎しみや復讐などの気持ちは込められていません。
Sometimes I feel like a motherless child
Sometimes I feel like a motherless child
A long way from home, a long way from home
Sometimes I feel like I’m almost done
Sometimes I feel like I’m almost done
True believer
True believer
A long, long way from home
A long, long way from home
歌詞を調べますと引き離された肉親への深い思いが伝わります。「A long ways from home」、とは文字通りでは「故郷アフリカから遠く離れて」ですが生まれ故郷の意味だけではありません。心の支えでもある主イエスのみ許、魂が帰る安息の地ーー天国を意味しています。安息を渇望する想いが込められています。
劣悪な生活と過酷な労働のなかで奴隷は生き続けます。そうしてようやく「もうすぐこの苦しみも終わりだ(I feel like I’m almos’ done)」という安息を渇望する言葉となります。
この曲はさまざまにレコーディングされています。マヘリア・ジャクソン(Mahalia Jackson)、ルイ・アームストロング(Louis Armstrong)、バーバラ・ヘンドリックス(Barbara Hendricks)らが有名です。ジャズのスタンダード・ナンバーの「セントルイス・ブルース (St. Louis Blues)」にも大きな影響を与えた曲です。