戦争において音楽を取り上げた映画は多数作られています。私がその中で印象的だと思う作品の1つに『誇り高き戦場』(Counterpoint)があります。監督は既に紹介した「野のユリ」(Lilies of the Field)を製作したラルフ・ネルソン(Ralph Nelson)、主演はチャールトン・ヘストン(Charlton Heston)やマクシミリアン・シェル(Maximilian Schell)らです。
大戦終了間際の1944年12月、名指揮者ライオネル・エヴァンス (Lionel Evans) が率いる交響楽団は、米軍慰問協会主催のコンサートのためにベルギー(Belgium) に向かいます。しかし、演奏中にドイツ軍が反撃を開始し楽団は移動を余儀なくされます。その移動中に楽団員が乗るバスがドイツ軍に囲まれ、楽団はドイツ軍の指令本部に連行されます。
指令本部で、処刑が趣味であるドイツ軍のアーント大佐(Colonel Arndt)によって楽団員は処刑されそうになります。司令官であるシラー将軍 (General Schiller) はそれを阻止します。そしてシラー将軍は、エヴァンスに兵士の士気を高めるために演奏するように頼むのですが、エヴァンスは拒否し、楽団は地下に監禁されてしまいます。楽団員は、演奏を拒み続けるエヴァンス抜きでリハーサルを始め、コンサートマスター(concert master)であるヴィクター・ライス(Victor Rice)が代わりに指揮をします。そこにシラー将軍が来て、エヴァンスの指揮でないと意味はないと言い張るのです。ヴィクターの妻であるアナベル(Annabelle)がエヴァンスを呼び戻し、エヴァンスはようやくリハーサルの指揮をすることになります。彼は楽団員とともに計画を立て脱出しようとしますが、計画は失敗に終わります。
翌日、エヴァンスは時間稼ぎのため、シラー将軍にコンサートで演奏することを受け入れ、その日の夜、楽団は演奏を始めます。演奏が終わると、楽団員はアーント大佐によって墓の前に立たされ処刑されようとするのですが、直前にパルチザン(Partisans) が駆けつけ処刑を免れます。そして、楽団員はバスに乗り脱出に成功しますが、エヴァンスは残りアーント大佐と対決します。そこにシラー将軍が現れ大佐を射殺するのです。