旅をしていて最も困るのは、物を忘れたり紛失することです。特にパスポート(旅券)やクレジットカードの紛失は深刻です。かつて院生がサンフランシスコ(San Francisco)のホテルのロビーにバックパックを置いたまま手洗いに行き、無くなっていたことがあります。幸い、領事館に駆け込んでパスポートを再発行してもらい帰国できたました。
ニューメキシコ州(New Mexico)のアルバカーキー(Albuquerque) でもパスポート「事件」がありました。アルバカーキー一帯にはプエブロ(Puebro)・インディアンの人々がたくさんいます。その歴史を伝える博物館(Indian Pueblo Cultural Center)に行ったときのことです。博物館を見学をして帰りの車中で、一人の院生が「パスポートがない」というのです。
仕方なく博物館に戻って探すことにしました。受付にいたプエブロ・インディアンの男性に事情を話しましたが、案の定遺失物として届けられていません。パスポートがないと出国も帰国もできないという事情を話ますと、男性が爽やかな笑いを浮かべて 「兄弟よ、心配することはない、ここに永住すればいいんだよ」というのです。これは慰めというか、一種のジョークです。
仕方なく連絡先を告げて別の場所を探すことにしました。結局パスポートは出てきません。ホテルに戻ると院生から 「スーツケースにあった」という報告です。院生はさすがにバツが悪かったのか、「お詫びのしるしに今夜の夕食は皆さんにおごります」と宣言しました。皆、歓声を上げて「また頼むよ、、」と冷やかします。