文化を考える その7 Cultural Studies

聞き慣れない研究の分野に「Cultural Studies」というのがあるのを最近知った。「地域へと広まっていった、文化一般に関する学問研究の潮流を指している。」とある。ハイカルチャーだけでなくサブカルチャー(大衆文化)の研究を重視するようだ。

サブカルチャーという用語を最初に使ったのはアメリカの社会学者のデイヴィッド・リースマン(David Riesman)である。彼は「孤独な大衆」(The Lonely Crowd)という著作を書き、その中で社会的性格は伝統指向型から内部指向型とか他人指向型へと変化すると論じている。リースマンは、伝統指向型の社会的性格は、はっきりと慣習が伝統によって体系化されているため、恥に対する恐れによって人々の行動は動機付けられると考える。

さらにリースマン曰く。内部指向型や他人指向型の社会的性格では、人は行動の規範よりもマスメディアを通じて、他人の動向に注意を払う。彼らは恥や罪という道徳的な観念ではなく不安とか寂しさによって動機付けられるのだと。大衆文化とはこのようにして広まるという。この考えは仮説だろうと察するが、一考に値する。

ハイカルチャーを享受するには相応の教養や金と時間が必要であった。だが、大衆が実力を持つのが20世紀。大衆社会においては、高等教育を受けた人々が増加し、ハイカルチャーも一般に楽しめれるようになる。絵画であれば、美術館に足を運ばなくとも美術書やパンフレットなどで見られる。音楽も演奏会に行かなくともラジオ・レコード・テレビで気軽に楽しむことができるように変容していった。今は電子媒体で安価で広汎に普及している。現代は、いわばハイカルチャーの大衆文化時代といえる。要は、Cultural Studiesとは以上の現象をもっと掘り下げて”難しく”研究する分野のようだ。

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