懐かしのキネマ その87 【草原の輝き】

原題は【Splendor in the Grass】といいます。青春映画の代表作の一つともいわれています。ここで紹介することにします。1928年、カンサス(Kansas) に住むバッド(Bud)と、ディーン(Dean) は高校3年生。ディーンの母親は保守的な倫理観の持ち主で「男は尻軽な女を軽蔑する、そういう女とは結婚したがらない」というのが信条で、母親にバッドを会わせづらいディーンです。

Bud & Angelina

バッドの父で石油業者のエイス(Ace) は息子がフットボールの選手であることが大自慢で、イェール大学(Yale University) に入れたがっていますが、バッドには父親の期待が心の負担になっています。父は理解あるように振舞うのですが、本能的には暴君で、姉のジェニー(Ginny)が家出して堕落してしまい、大学を追われたのも、こんな父がたまらなかったからです。バッドはひたむきなのだが、ジェニーはそれを受けとめてくれないのです。父は「女には2種類あって、時々気晴らしに遊ぶ女と、結婚する女だ。感情に任せて、責任取らされるようなことはするな」と口癖で言っています。そんなことでイライラした気持を、バッドは折にふれて乱暴な行動で爆発させるのです。ついに同級生でコケティッシュな女性の誘惑に負けてしまいます。

Splendor in the Grass

青春の悩みに苦しんでいるディーンはこの事件でショックを受け、ワーズワース(Wordsworth)の詩の授業の途中に教室を抜け出し、川に身を投げるのです。滝に落ちかける手前で、救助に飛び込んだバッドのおかげで死を免れたディーンは精神病院に入院します。父の希望通りイェール大学に入ったバッドは、勉強にも身が入らず、酒ばかり飲み、あげくにアンジェリーナ(Angelina) というイタリア娘と結ばれてしまいます。大学は退学寸前のところまできています。

おりしも、1929年の世界大恐慌(Great Depression)がやってきます。エイスは恐慌からの大打撃を隠して息子に会い、女をバッドの寝室に送り込んだりします。その夜窓から飛びおりて自殺するのです。ディーンは病院で知り合ったジョニー(Jonny)という若い医師と婚約します。退院してから、ディーンはバッドが田舎へ引込んで牧場をやっていることを知り訪ねて行きます。バッドがアンジェリーナとつつましく暮らしているのに接し、2人は穏やかな気持ちで再会するのです。