ナンバープレートを通してのアメリカの州  その三十七 ミズーリ州 –Show Me State

ミズリー州(Missouri)のニックネームは「Show Me State」となっています。これは、「俺は疑い深いのだ、証拠を見せてくれ」という意味です。少々のことでは納得しない、という気概が感じられます。このフレーズががナンバープレートに書かれてあります。

ミズーリ州は、合衆国中西部のミシシッピー川(Mississippi River)沿いの内陸にあります。8つの州にまたがるところでもあります。州都はジェファーソン・シティ(Jefferson City)。同州を代表する都市はなんといってもセントルイス(St.Louis)です。ミシシッピ川に面するこの町は、開拓時代より西部への玄関口として発展し、現在では中西部きっての観光地となっています。もともとの開拓には、フランスから移民としてやってきて、カナダでフランス植民地をつくった人々がミズーリにやってきたとあります。そのせいか、フランスの苗字が目立ちます。

Map of Missouri

ミズーリの主要産業は、航空宇宙産業、輸送設備、食品加工、化学工業、印刷/出版、電気設備、製造業など多彩です。農業生産品は、牛肉、大豆、豚肉、乳製品、干し草、トウモロコシ、ニワトリなどの家禽、及び 鶏卵です。特に豚や牛の生産が盛んです。近年はワイン産業の育成にも州は力を入れています。ミズーリは、大理石の生産で知られています。その他、鉛、石炭、採石が生産されています。ミズーリ川(Missouri River)とミシシッピー川がこうした資源を運ぶ大動脈となっています。川には大小多くのバージ(barge)と呼ばれる運搬船が往来しています。

セントルイス市内には「Gateway Arch」アーチがそびえています。頂上からの眺めは、ミシシッピー川をはさんで360度の景色が楽しめます。ここには、Gateway Archが建設される様子の資料が展示されています。あの壮麗なアーチが出来上がる様をつぶさに映像で説明しています。私も存分に景色を楽しみました。

Gateway Arch

面白い話題がミズーリにはあります。それはアルコールやタバコの生産にまつわることです。ミズーリ州は他の州に比べて、アルコールやタバコの規制が緩やかなことです。例えば、未成年の子どもに保護者が酒をのませることも認められたり、21歳以上であれば道ばたでプラスチックのカップなどで酒を飲むことができるなどです。禁煙運動が盛んな国としては、大変珍しいことです。そういえば、バドワイザーを製造するアンハウザー・ブッシュ(Anheuser-Busch)の本社もここにあります。

ナンバープレート その三十六 マサチューセッツ州–Spirit of America

マサチューセッツ州(Massachusetts)の州都ボストン(Boston) から車で一時間のところにプリマス(Plymouth)という港町があります。ここにMayflowerII号のレプリカが停泊しています。Mayflowerは1620年頃にヨーロッパからこのあたりに着いたことが記されています。長くて困難な大西洋の航海だったようです。オランダ(Holland)のライデン(Leiden)あたりが出航地のようです。

Map-of-Massachusetts

最初の移民の多くは聖教徒(Pilgrims)といわれています。船から下りた聖教徒が開拓したところが今も大切に保存されています。この居留地はPlimoth Plantation(プリマス開拓地)と呼ばれて州の歴史的な公園となっています。開拓地は高い木の柵が巡らされてインディアンからの襲撃に備えたことを伺わせます。

Plantationに入りますと、そこは1600年代という設定です。タイムスリップするのです。そこで働く人は百姓、商人、鍛冶屋、パン屋さんなどいろいろ。当時の服装、言葉、動作で観光客に対応します。観光客はそのことを知らされません。こんな会話が交わされます。

  働く人:どこから来ましたか?
  観光客:日本からきました。
  働く人:日本ってなんですか?どこにありますか?
  観光客:アジアです。

  働く人:どうやってここまで来ましたか?
  観光客:飛行機と車できました。 
  働く人:飛行機とか車ってなんですか?
  観光客:飛行機も車も知らないんですか、、、、。

Plimoth Plantation

このあたりまで会話が進むと、ちんぷんかんぷんの観光客もようやく「ははあ、、ここは1620年頃の設定なのだな、、、」と合点がいきます。この演出は誠に可笑味があります。

マサチューセッツ州のナンバープレートには「Spirit of America」というキャッチフレーズが印字されています。これは、建国の精神を意味します。1680年ころから、マサチューセッツはイギリスの植民地となります。1760年代になると、マサチューセッツ憲法として権利の宣言と政府の樹立を叫び、イギリスの支配に反旗を翻します。やがて独立戦争が始まるのです。この自治と独立の精神が「Spirit of America」というものです。

研究機関としてハヴァード大学(Harvard University)、マサチューセッツ工科大学(MIT)を筆頭として、ボストン大学(Boston University)、マサチューセッツ大学(University of Massachusetts)、タフツ大学(Tufts University)など、いずれも合格率は10%前後という難関大学です。

ナンバープレートを通してのアメリカの州 その三十五 ミシガン州–Great Lake State

ミシガン州(Michigan)のナンバープレートには「Great Lake State」と印字されています。州名は、チペワ(Chippewa)インディアン語で「大きな湖」から由来します。五大湖を指しています。ミシガンは北はカナダと国境を接しスペリオル湖(Lake Superior)・ヒューロン湖(Lake Huron)を抱え、西はウィスコンシン州、南はインディアナ州とオハイオ州に接しています。州都はランシング(Lansing)で最大の都市はご存じデトロイト(Detroit)です。デトロイト国際空港は6本の滑走路を有し、Delta航空の一大ハブ空港となっています。

Map of Michigan

ミシガンは林業が盛んで、そのために馬車の生産で有名となります。林業に変わって自動車が登場し、1908年にフォード(Henry Ford)が大衆車の大規模生産に乗り出します。その中心はなっといってもデトロイトでしょう。五大湖のうちの4つに囲まれるという地の利が自動車産業を支えてきました。ゼネラルモーターズ(GM)、フォード、(Chrysler(Chrisler))のビッグスリーの本社がデトロイトとその近郊にあります。そういえば、高速道路(US Highway)には自動運転車専用レーンもあります。

その他の産業も盛んです。アムウェイ(Amway)、穀物のケロッグ(Kellogg)、ダウケミカル(Dow Chemical)、ワールプール(Whirlpool)などもここにあります。研究開発はミシガン大学(University of Michigan)、ミシガン州立大学(Michigan State University)、ウェイン州立大学(Wayne State University)が担っています。

無人自動車専用レーン

ミシガンは一大レクリエーションの州でもあるのをご存じでしょうか。2005年の統計によるとミシガンはカリフォルニア、フロリダに続き全米で第三番目の観光客を集めた州といわれるほど自然に恵まれたところです。65,000の湖や沼が広がるというのですから、レクリエーション客を惹き付ける理由もうなずけます。4つの湖の側はどこも州立公園や観光地といってよいほどです。いくつかを紹介しましょう。

カナダの国境近くにはマキナック島(Mackinac Island)があります。夏はキャンプ、リゾート、、なんでも楽しめます。この島は車禁止。移動手段は「リムジン馬車」か自転車となっています。コロニアルスタイルの建物が並びます。生ガキとキャビア、魚料理の食事もいいです。のんびりと時間が流れるようなところです。

ナンバープレートを通してのアメリカの州 その三十四 フロリダ州–Sunshine State

日本人にもフロリダ州(Florida) はよく知られています。子どもや親にとってはわくわくするところです。その第一はオーランドにあるディズニー・ワールド(Disney World)です。世界一の娯楽施設です。その広さはJR山手線内の約1.5倍というのですから、まさに桁外れのものです。その敷地内には、4つのテーマパークを中心に、ウォーター・パーク、エンターテイメントエリア、マリーナ、ゴルフ場、牧場、キャンプ場などが配置されています。

Map of Florida

ディズニー・ワールドには、タイフーン・ラグーン、マジック・キングダム、、、どれをとっても娯楽の粋を集めてそのアイディアを競っています。レストランにはミッキーマウスや小熊のプーさんがテーブルを回って写真を一緒に撮ってくれます。子どもたちはもう大喜びです。夢を子ども達に与えるのがこうしたテーマパークの「テーマ」といえましょう。オーランドにはユニバーサルスタジオ(Universal Studio)もあります。ディズニーワールドとあわせて毎年6,000万以上の人々がオーランドを訪れるというのです。

第二は、アメリカ航空宇宙局 (NASA) のケネディ宇宙センターがあります。数々のロケットやスペースシャトルが打ち上げられてきたところです。軍事用の偵察衛星や通信衛星、気象衛星、そして惑星探査機の打ち上げにセンターが使われています。

フロリダ州のナンバープレートには「Sunshine State」とあります。フロリダとは「花が一杯」という意味だそうです。文字通り太陽の降り注ぐ温暖な州です。特に冬は、各地から避寒客がやってきます。極寒の中西部では、「フロリダに行ってくる」というフレーズは周りの人からは羨ましがられるのです。

Everglades National Park

フロリダは亜熱帯の柑橘類であるグレープフルーツ、オレンジ、野菜の産地です。ジュース生産も盛んな州です。また豊富な漁猟資源でも知られています。特産のエビや牡蠣(かき)でも有名です。北米最大の湿原地帯がエバグレーズ(Everglades National Park)国立公園です。国立公園として園内のほとんどが保護されています。開発は一切行われず、環境には優しいのですが、道路が不整備で観光には決して優しくないという珍しい国立公園です。

ナンバープレートを通してのアメリカの州  その三十三 ハワイ州–Aloha State

大抵の日本人なら一度は旅するところがハワイ州(Hawaii)です。言葉が通じ、食べ物が豊富で美味しく、景色がエキゾチックで、気候が温暖なのですから人気が高いのもうなずけます。誠に手頃な観光地です。ですが文化や歴史の多様な姿もまたハワイの魅力です。

ハワイ固有の文化はポリネシア系(Polynesia)です。ポリネシアとは「多くの島々」の意味だそうです。音楽、舞踊、服装、料理などがそうです。1778年にイギリスの探検家、ジェームス・クック(James Cook)によって世界に紹介されます。州として合衆国に編入されたのは1959年。カメハメハ大王(King Kamehameha the Great)の統治が長く続きました。その間、日本から多くの人々が移民しました。主としてオアフ島(Oahu)やハワイ島(Big Island)でのサトウキビ、パイナップル、珈琲栽培のためです。琉球からの移民が目立ちました。今も琉球の名前を持つ人々が大勢住んでいます。

マウイ島

先住のハワイ人やポリネシア系が約10%なのに比べ、日系人は17%を占めます。政治、経済、社会における活躍は目覚ましいものがあります。日系人の活躍としては、戦時中の志願兵の活躍が特筆されます。ハワイで生まれの若い日系アメリカ人の多くは、志願兵として祖国に対する忠誠心を示し陸軍の大隊に入ります。この部隊は日系人だけで組織されていたようです。やがてアメリカ本土の日系人部隊と合流し442連隊 (442nd Regimental Combat Team) となりヨーロッパ戦線にて戦果を上げます。オアフ島の真珠湾に浮かぶ戦艦アリゾナ記念館や戦艦ミズリー号などを訪れると太平洋戦争の歴史が身近なものとなります。

ハワイ州は、大小100位の島々から成ります。これらは海底火山によってつくられました。州都ホノルルのあるオアフ島は最も知られていますが、是非訪ねたいのはハワイ島やカウアイ島(Kauai Island)、モロカイ島(Molokai Island) などです。ハワイ島には日系移民によって開発された一番大きな町、ヒロ(Hilo)があります。そこに日系移民博物館があります。驚くことに、館内の展示物には代々の天皇の「写真」が飾ってあります。驚くなかれ神武天皇の写真もあります。日本に対する深い想いがこめられているのを感じます。

ハレアカラ火山

ハワイ島のマウナケア(Mauna Kea)山頂付近は、国立天文台が設置したすばる望遠鏡があります。周りには世界各国の天文台も並んでいます。ここに兵教大の院生とで天文台内部を見学する許可を得て訪ねました。ついでに山頂へも登ったのですが、酸素が薄くて息が苦しかったのを覚えています。一行にいた理科の教師にはたまらない見学ツアーとなったようです。ハワイ島のキラウエア(Kilauea)火山からの熔岩流は今も蒸気を上げています。そして虹が地平線から地平線まで見事なアーチを描きます。

ハワイの高校には二つの有名な私立学校があります。カメハメハ・スクール(Kamehameha Schools)とプナホウ・スクール(Punahou School)です。バラク・オバマ大統領が卒業したプナホウは人気が高くなりました。マウイ島にあるハレアカラ火山の標高は3,000メートルを超え、世界一大きな火口を持つことでも有名です。「2001年宇宙の旅」の火星モデルにもなったようで、荒涼、索漠たる光景がひろがります。この世ではない遠い世界のような感じがします。ほとんど頂上近くまで車であがることができます。

ナンバープレートを通してのアメリカの州 その三十二 ヴァジニア州–Mother of Presidents

ワシントンDC(Washington D.C.)からポトマック川(Potomac RIver)を越えたところに位置するアーリントン郡(Arlington)、そこからヴァジニア州(Virginia)は南西に広がります。イギリスから最初に独立した13州のうちの一つ。南北戦争では南部連合(Confederacy)に属して合衆国軍(Union)と戦いました。州都はリッチモンド(Richmond)となっています。チェスピーク湾は大西洋に面し、あちこちに独立戦争の戦跡が国立公園として保存されています。

Oldtown of Alexandria

ヴァジニア州は正式にはThe Commonwealth of Virginiaと呼ばれます。植民地時代から地域がそれぞれに共通した目標である独立に向けて共に発展する意思を表しています。この州からは、歴代8名の大統領を送り出しています。George Washington, Thomas Jeffersonらです。そのために、「アメリカ大統領の母なる地」(Mother of Presidents)とも言われるほどです。DCの対岸の州内にはアメリカ国防総省(Pentagon)やCIA本部もあります。アレクサンドリア(Alexandria)という歴史的旧市街も綺麗です。独立戦争以前の街です。全米で最も古いとされるファーマーズマーケットも知られています。

Pentagon

ウイリアムスバーグ(Williamsburg)は是非訪れたいところです。1690年代には植民地時代の首都でありました。1.5km x 1.5 kmのスペースに入植当時の建物はすっかり復元されて、植民地の面影を感じることができます。その近くに1693年に設立されたWilliam & Mary大学があります。アメリカで最も由緒のある、また優れた学部教育のカレッジとして知られています。

研究機関の中心はなんといってもヴァジニア大学 (University of Virginia)です。創立は1819年、Thomas Jeffersonによって創建されました。学内のすべての建物がコロニアルスタイルで統一され、全米で最も美しいキャンパスと称されています。

ヴァジニア州のナンバープレートはいろいろなデザインがあります。うっそうとした豊かな森や清流の自然や生態系を反映してデザインには野鳥などを配置しています。ヴァジニアは「Mother of Presidents」の名にふさわしい風格のある州です。

ナンバープレートを通してのアメリカの州  その三十一 ネブラスカ州–Cornhusker

ネブラスカ州(Nebraska)は合衆国のほぼ真ん中に位置しています。丁度合衆国のおへそのような所にあります。北はサウスダコタに、東はアイオワ州とミズーリ州に、西はワイオミング州とコロラド州に、南はカンザス州に囲まれています。オマハ(Omaha)で最も人口の多い街です。ミズーリ川(Missouri River)沿岸のオールドマーケット(Old Market)地区と呼ばれ、古き良き時代を感じさせるこの地域は、現在はエンターテインメントやショッピングの人気エリアです。ニックネームは「Cornhusker 」。Cornhuskerとはネブラスカ州人の俗称でトウモロコシの皮をむく人を意味します。

Map of Nebraska

州都はリンカーン(Lincoln)でネブラスカ大学の本拠地です。ネブラスカ大学(University of Nebraska-Lincoln) は同州の大学教育をリードする基幹大学です。特に農学部と経営学部が高く評価され、大学スポーツの強豪校としても有名です。特にカレッジフットボールや女子バレーボールでは複数回全米チャンピオンとなっています。

Corn Fields

ネブラスカ州立博物館(Nebraska State Museum)は、大学のメモリアルホールに位置しています。この博物館には、最も人気のあるアトラクションであるマンモスの化石のセットなど、自然史を紹介するコレクションや展示があります。大学附属のシェルドン美術館(Sheldon Museum of Art)があります。大学附属の美術館としては全米最大級で、その規模は12,000点を超える北アメリカ美術のコレクションを有していることです。

州の大部分は平坦な大平原が広がります。そこは肥沃なプレーリー土(Prairie)に恵まれ、牛肉・豚肉・トウモロコシ・大豆の生産で、国内のトップとなっています。ネブラスカ州はのモットーはThe Good Lifeとあります。「楽しく住むところ」といった感じですね。車のナンバープレートには、大平原と煙突のような岩山が描かれていてすてきなデザインです。

ナンバープレートを通してのアメリカの州  その三十 ニューヨーク州–The Empire State

ニューヨーク州(Newyork)の紹介です。なにを取り上げても話題の尽きない州です。最大の都市はニューヨーク、州都はニューヨークから300キロも離れた人口10万人足らずのアルバニー(Albany)。州の西端にはナイアガラ瀑布(Niagara Falls)があるのをご存じですか。

ニューヨーク州は正三角形に近い形をしています。ニューヨーク州の境界には五大湖のうちの2つのエリー湖(Lake Erie)とオンタリオ湖(Lake Ontario)があります。カナダのオンタリオ州とケベック州と国境を接し、コネチカット州、バーモント州、マサチューセッツ州、ニュージャージー州、そしてとペンシルベニア州と隣接しています。

SOHO, Newyk

誰でもご存じのニューヨークは世界経済、商業、コミュニケーションの中心地です。多くの企業の本社がここにあります。またショービジネスなど娯楽産業の中心でもあります。年間4,700万人の観光客が訪れます。国際連合はじめ公共機関も沢山あります。9・11の影響がいまだに続いてはいますが、急速な回復はニューヨークのバイタリティを感じます。公共交通網も張り巡らされ、多くの地下鉄は24時間運行となっています。

ニックネームはBig Apple。その由来は、大恐慌時代に失業者が市内ででリンゴ売りをしていたとか、ジャズマンが使い出したとか、1800年代に街には一番いい「リンゴ」があったという(隠語で売春婦)説などです。

ニューヨークの由緒のある所の紹介です。エリス島(Ellis Island)は忘れることができません。ニューヨーク湾内にあって、19世紀にヨーロッパからの移民が到着したのがこの島です。かつての移民管理局は今は博物館となっています。1800年頃から1954年まで使われていたとあります。その近くには自由の女神(The Statue of Liberty)が建っています。合衆国の独立100周年を記念してフランスより贈呈され、1886年に造られました。ヨーロッパからやってきた人々が船上からこの像を眺めて、新天地への憧れを抱いたところといわれています。自由の象徴ともなっています。

Restaurant at SOHO


ニューヨーク州のナンバープレートには「The Empire State」と印字されています。戦後しばらく、世界一高い建物といわれたEmpire State Buildingの影響があるようです。なんでも世界一が好きなアメリカのことです。ニューヨークは確かにそのような風格と内容を備えてはいるようですが、モットーからは少々いかつい印象もぬぐえません。

ナンバープレートを通してのアメリカの州 その二十九 ニューメキシコ州–Land of Enchantment

この州の最大の都市はアルバカーキー(Alburquerque)です。今では伝説的となりましたが、かってマイクロソフト(Microsoft)の創始者、ビル・ゲイツ(Bill Gates)がパソコンのOSを開発した町です。もともと大部分がネイティブ・アメリカンの居留地だったところです。部分的にメキシコ領土だった経緯もあります。現在、人口の45%がヒスパニック(Hispanic)。加えて、今でもネイティブ・アメリカンが全米で第三位を占める位、多く住んでいます。ですが面積からするとアメリカで最も人口密度が低い州といわれています。

Map of New Mexico


 
州都は、かってメキシコの総督府が置かれていたサンタ・フェ(Santa Fe)。観光はサンタ・フェの経済を支えています。温暖な気候や、冬のスキー、夏のハイキングなど野外活動の機会に恵まれています。歴史・芸術・文化の豊かな州都です。ジョージア・オキーフ美術館(Georgia O’Keeffe Museum)はその中心といえましょう。オキーフは特にアメリカ人に人気のある女性画家です。自然の景観や動植物などの自然を題材としています。オキーフはウィスコンシン州の農家に生まれ、マディソンで高校時代をすごしたこともあります。

Adobe houses

ダウンタウンの歴史地区、特に総督府に隣接するプラザ(Plaza)にはメキシカンフードの人気レストランが立ち並んでいます。町並みは日干しの土で作られた建築物アドービ(Adobe)です。砂、砂質粘土とわらなどの素材でつくられる建材です。熱を吸収してもゆっくりと放出するので建物の中は涼しく、ニューメキシコのような暑くて乾いた地に適しているといわれています。

ニューメキシコは日本にとって忘れることのできない州です。アルバカーキーから車で90分のところにロス・アラモス(Los Alamos )という街があります。砂漠のど真ん中にある巨大な研究都市です。国防総省が武器などを開発しています。マンハッタン計画(Manhattan Project)によって、ここで造られた原子爆弾Little Boyの複製が博物館に展示されています。複雑な思いのする場所です。

ナンバープレートを通してのアメリカの州  その二十八 ニューハンプシャー州–Live Free or Die

ニューハンプシャー州は大西洋側の東海岸にあります。綴りはNew Hampshierです。いわゆるニューイングランド地域の一部で、北部及び北西部でカナダのケベック州(Quebec)、東部はメイン州(Maine)、南部はマサチューセッツ州(Massachusetts)、そして西部はバーモント州(Vermont)と隣しています。アメリカにはNewが付く州や町がたくさんあります。州ではNew Mexico, New Jersey, ご存じNew York, New London, New Berlin, New Heaven, という街もあります。イギリスやヨーロッパ各地からの移民が開拓したことを物語ります。

Town of Portsmouth

ニューハンプシャーの州都はコンコード(Concord) という小さな街です。コロニアルスタイル(Colonial style)といわれる植民地時代の木造家屋のデザインを示します。この州で忘れられないところがポーツマス(Portsmouth) という街です。日露戦争が終わり、当時の大統領ルーズベルト(Theodore Roosevelt) の仲介で講和条約が締結された街、それがポーツマスです。実に小さな港町です。こんなところで条約が結ばれたのか、と頭をかしげたくなるようなのんびりとした所です。街全体の建物もコロニアルスタイルです。

Downtown Portsmouth

講和会議における日本の代表は外務大臣の小村寿太郎、ロシアは元大蔵大臣のセルゲイ・ウイッテ(Sergei Witte)です。ポーツマスの博物館に当時の交渉の様子を報道した写真や新聞記事が飾られています。大男のウイッテが小男の小村を威圧するイラストがあります。当時ロシアはヨーロッパの大国、日本はアジアの小国でした。アメリカは太平洋の利権があって日本に同情的な姿勢であったことを伺わせます。

日露講和会談

ニューハンプシャーのナンバープレートには「Live Free or Die」と描かれています。「自由を与えよ、さらば死を」という意味です。ニューハンプシャーは最初にイギリスの統治を離脱し独立への歩みを踏み出します。独立宣言後、最初の13州の一つともなります。さらに特筆すべきことは合衆国の州として最初に憲法を制定した州となったことです。この歴史を踏まえているせいでしょうか、大統領選挙において最初に予備選挙が実施されるのがこの州でもあります。その後の各州での大統領選挙を予測するうえで重要な選挙となっています。