心に残る名曲 その三十七 「フィンランディア」 Finlandia

フィンランド(Finland)の別名は「スオミ(Suomi)」です。Suomiとはフィンランド語とかフィンランド民族を表す語です。この国の首都はヘルシンキ(Helsinki)。戦後日本が最初のオリンピックに出場したのが1952年にヘルシンキで開かれた第十五回オリンピックです。私がヨーロッパへ最初に行った国もフィンランドでした。

フィンランドは東部のロシアとの国境地方において絶え間ない戦乱に悩まされてきました。17世紀にロシア帝国のピュートル(Pyotr)大帝はフィンランドを幾度もせめたて、女帝のエリザベート(Elizabeth)はロシアの宗主国のもとにフィンランドを別個の国家としたりします。次いでロシア皇帝アレクサンドル1世(Aleksandr I)はフィンランドに侵入し併合します。やがてロシアの宥和政策によりフィンランドは自治を有する大公国として憲法や国会を持つことが許され、フィンランドの民族意識が高まっていきます。

民族意識の高まりを広げた代表はエリアス・リョンロート(Elias Lennrot)の編集する偉大な民族叙事詩「カレワラ(Kalevala)」で、この公刊によって民族精神が高揚されていきます。「Kalevala」とは「英雄の地」の意味です。民間説話からまとめられ、フィンランド語の文学のうち最も重要なもののうちの一つとされます。1917年のロシア帝国からの独立に導くのに多大な刺激を与えた文学作品といわれています。

フィンランドを代表する作曲家といえばシベリウス(Jean Sibelius)でしょう。1892年にカレワラに基づくクレルボ交響曲(Kullervo)や有名な交響詩フィンランディア(Finlandia)を作曲したことで知られています。特にフィンランディアは8曲からなる管弦楽組曲で、その最終曲を改稿して独立させたものが「フィンランドは目覚める」という曲です。フィンランドの国歌は「我等の地」ですが、それに次ぐ第二の愛国歌として広く歌われています。別名は「フィンランディア賛歌(Finlandia-hymni)」とも呼ばれ、文字通り讃美歌としても世界中で歌われています。

シベリウスの作風は、チャイコフスキー(Pyotr Tchaikovsky)、グリーク(Edvard Grieg)、ドヴォルザーク(Antonín Dvorak)などの国民楽派の影響を受けたといわれます。この辺りの事情は私には勉強不足でよく理解しておりません。