旅のエピソード その12 「グアムと食堂の青年」

私はどこへ行っても人に話しかける癖があります。道を聞くとき、安くて美味しい食堂を探すとき、他愛のない会話をしたいとき、英語を使いたくなるとき、なにかの評判が確かかを調べるとき、などです。

グアム(Guam)に始めて行ったとき、レンタカーで島をぐるりとまわりました。ダウンタウンから西へ走ると 太平洋戦争国立歴史公園 (War in the Pacific National Historical Park)という歴史記念公園があります。そこのビジターセンターに立ち寄りました。旧日本軍の潜水艦や魚雷が庭に展示されています。大戦開始前にはアメリカの統治下にあったのを日本軍は1941年から1944年までグアムを占領します。元日本兵横井庄一さんがグアムのジャングルで発見されたのが、氏が戦地グアムに送られてから約28年後の1972年でした。

ビジターセンターの受付で「このあたりで地元の美味しい料理を食べれるところはないか」と聞きました。「あそこの観光地はいい」とか「そこは行ってもつまらない」、といって親切に教えてくれるのです。ここのビジターセンターにはあまりに日本人観光客はやってこないのだそうです。

案内された食堂はど田舎にありました。素朴な格好をした一人のグアムの青年が調理しています。そこに友だちの若者がやってきて、屋外に並べられている食卓を一緒に囲みました。一人目は数ヶ月後にアリゾナで兵役につくこと、二人目はグアム大学(University of Guam) で農業を勉強し始めること、三人目はこの食堂を継ぐというのです。皆それぞれ自分の目標をもっていて好感がもてました。このような会話は田舎でしか出来ません。