磐音の用心棒仲間に品川柳次郎がいます。彼は貧乏御家人の次男坊です。江戸時代の御家人の多くは、戦場においては徒士と呼ばれる武士、平時においては勘定所とか普請の勤務、番士もしくは町奉行所の与力や同心としての職務や警備を務めていました。
大都会江戸に住む御家人は、江戸の物価高に悩まされ常に逼迫していたようです。そのため公然と内職をして生計(たっき)を支えることが一般的でありました。本所は北割下水で幕府から拝領していた古い屋敷に住む柳次郎の家も例外ではありません。団扇づくりで家計を助けています。母親の幾代は武家の矜持を失わず品川家を細腕でしっかりと支えています。
ある日、打ちたての蕎麦を土産に、磐音が北割下水の品川宅を訪れます。日がな内職の団扇作りに追われて辟易としていた柳次郎は磐音が用心棒の仕事をもってきたかと期待します。
磐音 「無沙汰の挨拶に寄りました」
柳次郎 「なにかいい仕事はありませんか?」
幾代 「柳次郎!、母と一緒に仕事ができる以上の幸せがありますか」
がっかりする柳次郎に幾代はこのように言いきかせるのです。「母と一緒に仕事ができる、、、」 なんと凜とした仕草でしょうか。
御家人の身分は御家人株と呼ばれるように、家格によって与えられた役ごとに相場がありました。幾代は品川家を存続させようとします。やがて磐音や彼の師匠である佐々木玲圓の剣友、速水左近らの努力で品川家の惣領に柳次郎が決まります。近くに学問所勤番組頭である椎葉家の長女、お有がいます。柳次郎とは幼なじみの仲でした。磐音は、気さくで率直な性格、そして大の母親想いの柳次郎に剣術を教えながら、やがてこの二人の仲をとりもつのです。
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