懐かしのキネマ その64 【シェーン】

雄大な自然が広がる西部開拓時代のワイオミング(Wyoming)を舞台に、流れ者シェーン (Shane) と開拓者一家の交流や悪徳牧場主との戦いを描いた名作西部劇が【Shane】です。

Wyoming

合衆国の内戦である南北戦争が終わった頃です。入植者のジョー・スターレット (Joe Starrett) は妻マリアン (Marian)、幼い息子ジョーイ(Joey) とともに地道に開拓作業に励んでいました。しかし、横暴な牧場主ライカー (Ryker) によって一家の平和が脅かされつつありました。この地域一帯を昔から支配してきた牧場主ライカ―たちは自分らの既得権益を守ろうと、入植者たちを追い出そうと日々嫌がらせをしてきていたのです。

ジョー家族の前に、シェーンと名乗る流れ者のガンマンが現われます。一家は紳士的で献身的なシェーンをすぐに気に入り、しばらくの間家に迎え入れることを決めます。その一方で、ジョーとマリアンはシェーンが凄腕のガンマンであることにうすうす感づいていました。ガンマンの夢を持つジョーはシェーンに強い憧れを抱くようになり、彼との時間に夢中になっていきます。シェーンも、ジョーの仲間の開拓者たちとも友情を育んでいきます。しかしライカーの暴力は日ごとにエスカレートしていき、ついに開拓者の1人が殺し屋に命を奪われてしまきますいます。ライカーとの話し合いに向かおうとするジョーを止めたシェーンは、たった1人でライカー一味に立ち向かうのです。

Shane and Joey

その後、身の危険を守るため、ジョーら入植者たちは可能な限り集団行動をとることを決めます。そして、女子どもを連れて入植者たちが街に出たときのこと。再びライカ―の一団から無礼な言葉をかけられたシェーンは、その態度に暴力で応えることを決めます。大勢の男相手と殴り合いをするシェーンに加勢しようと、途中からジョーも参戦。二人は日頃の恨みを晴らすには十分な報いをライカ―の部下たちに与えることに成功します。

そして、シェーンが酒場を出ようとしたとき、「危ない!」というジョーイの声に反応し、シェーンは物陰に潜んでいた手下に気づきます。シェーンはすぐに最後の手下を撃ち殺し、隠れていたジョーイと再会します。ジョーイの前に立ち、いつもの笑顔に戻り、「気にするな」と声をかけ、馬にまたがります。シェーンがここから旅立とうとしていることに気づきます。旅立つ理由を尋ねられ、シェーンは「一度でも人を殺せば、元には戻れない」と答え、こう付け加えました。「強くまっすぐな男になれ」とジョーイの頭をなでると、シェーンは旅立ちます。ジョーイは去り行く後ろ姿に大きな声で言葉をかけ続けます。”Shane, come back! Shane!”

懐かしのキネマ その63 【ジャイアンツ】

原題は「Giant」。テキサス(Texas) に広大な土地を持つ牧場主ジョーダン・ベネディクト2世(Jordan Benedict Jr)が、東部の名門の娘レズリー(Leslie Lynnton)を妻に迎えます。初めてのテキサスに彼女はその途方もない広さに驚き、東部とはあまりにも異なる人間の気質と生活習慣に戸惑います。夫の姉ラズ(Luz)の冷たい視線にも苦しめられますが、レズリーは持ち前の粘り強い性格でそれを乗り越えていきます。

このレズリーに密かに心を寄せるのが、ひねくれる若い牧童のジェット・リンク(Jett Rink)です。彼は自分に対する唯一の理解者であったラズがレズリーの持ち馬から落ちて亡くなり、遺言で土地の一部を残してくれたことを知ります。ジョーダンは自家の農地が分割されることを嫌い、相場の2倍でその権利を買い取ることを申し出ますが、ジェットは断り自分の土地に賭けてみるのです。

James Dean and Elizabeth Taylor

ジェットはテキサスに油田ブームが到来したことを知り、自分の土地でも石油が出ると信じ、土地を抵当に石油の採掘を始めます。資金が底を尽きかけたときついに油田を掘り当て、吹き出した原油を全身に浴びた姿で、泥酔してベネディクト家に乗り込みます。そしてレズリーに馴れ馴れしい態度を示すジェットは、ジョーダンに殴られます。ジェットは彼を殴り返し、そのままトラックで立ち去ります。

歳月は経過し、米国でも屈指の大富豪になったジェットは、私財を投じて病院建設などの慈善事業を展開し名士の仲間入りを果たします。ジョーダンは本業の牧畜業がうまくいかなくなり、自分も石油事業に乗り出し巨万の富を得ますが、成り上がり者ジェットの成功を苦々しく思っています。やがてジェットは巨大なホテルを建設し、その祝賀パーティにベネディクト一家を招待します。ジェットの富に張り合うためジョーダンはダグラスDC機を購入しパーティ会場に一家で乗り込むのです。しかしながら祝賀パレードで娘のラズ2世が、自分に断りもなしにジェットをたたえる王女役でオープンカーに乗っているのを見て不機嫌になります。ホテルで息子のジョーダン3世のメキシコ人の新婦が人種差別を受けたこと発端として、ホテルの祝賀パーティの席で両者は対決の時を迎えます。

パーティの帰り、自家用車でジョーダンがふと立ち寄った白人のテキサス男が経営するレストランで、経営者がメキシコ人を差別して追い出そうとする場面に遭遇し、意見をしたことから両者は殴り合いのけんかとなります。大男同士の激しい殴り合いの結果、ジョーダンは打ちのめされてしまいます。帰宅後、ジョーダンはソファでレズリーの膝枕で横になり、レズリーは彼の行動をほめるのです。そして白人の孫とメキシコ人との混血の孫を満足げに眺めるのです。

懐かしのキネマ その62 【カサブランカ】

1941年、親ドイツのヴィシー政権(Régime de Vichy)の管理下に置かれたフランス領モロッコ(Morocco) の都市カサブランカ(Casablanca)を舞台とした戦争とロマンスの映画です。ドイツの侵略によるヨーロッパの戦災を逃れた人の多くは、中立国のポルトガル(Portuguese)経由でアメリカへの亡命を図ろうとしていました。

主人公であるアメリカ人のリック(Rick Blaine) は、カサブランカで酒場「カフェ・アメリカン」(Rick’s Cafe American)を経営しています。彼には、パリが陥落する前に理由を告げずに去った恋人イルザ・ラント(Ilsa Lund)がいます。イルザはその酒場にやってきます。イルザはリックとのパリの思い出の曲『アズ・タイム・ゴーズ・バイ』(As Time Goes By)を弾くようにピアニストに頼みます。そこにリックが現れます。

ハンフリー・ボガードとイングリッド・バーグマン

イルザの夫は、ドイツに併合されたチェコスロバキア人(Czechoslovakia) のドイツ抵抗運動の指導者ヴィクター・ラズロ(Victor Laszlo)です。ラズロは現地のオルグと接触、カサブランカからの脱出のチャンスをうかがっていました。サブランカ警察署長のルノー(Captain Louis Renault)は計算高い男で、流れに逆らうように異郷のカサブランカで生きるリックに共感していました。リックは、かつてスペインのレジスタンスに協力していました。ルノーはリックに対して、ラズロには関わるなと釘を指します。現地司令官であるドイツ空軍のシュトラッサー少佐(Major Strasser)は、ラズロをカサブランカ市内に閉じ込めます。
イルザはリックに会い、夫を助けられるのはリックしかいないと、必死に協力を懇願します。というのは、リックは闇屋からヴィシー政権の発行した通行証を譲り受けていたからです。そしてイルザは通行証を渡そうとしないリックに銃口さえ向けるのです。しかしイルザは引き金を引くことが出来ず、2人はお互いの愛情を確かめ合うのです。

“As time goes by”

リックは、ラズロとイルザが通行証を欲しがっている事実をルノー署長に打ち明け、現場でラズロを逮捕するようにと耳打ちします。手柄を立てるために、約束の閉店後の店にやってきたルノーです。しかしリックの本心は、2人を亡命させるためにルノーを空港まで車に同乗させて監視の目を欺くことにありました。シュトラッサーを射ち殺してでも彼女を守ろうとするリックです。

愛を失っても道義を貫こうとしたリックを前にして、実はレジスタンスの支援者であったルノーは、自由フランスの支配地域であるフランス領赤道アフリカのブラザヴィル(Free French in Brazzaville)へ逃げるように勧めて見逃すことにするのです。リックとルノーの二人は戦時下にあって「この狂った世界を終わらせなければならない」と意気投合します。イルザとラズロを載せた飛行機は宵闇の中へ消えていきます。

懐かしのキネマ その61 【ゴッドファーザー】

原題も【The Godfather】です。ゴッドファーザー(Godfather)と呼ばれるマフィア(Mafia)のドンを中心に、その抗争と家族の営みを描いた素晴らしい人間ドラマで、最高のギャング映画の大作です。「Mafia」とは、組織犯罪集団の代名詞といわれ、排他的かつ強力な団結力を持つ組織のことです。

シシリー(Sicily)からアメリカに移住し、一代で財を成したのがドン・ヴィト・コルレオーネ(Don Vito Corleone) です。自分を頼りにする者には愛と権力、知力で十分に報いるのです。それがゴッドファーザーとしての義務であり、尊厳となっていました。そしてニューヨークを牛耳るイタリア系マフィアの頭領となります。ヴィトの長女コニー(Connie)が結婚することになり、邸宅で盛大なパーティが開催されます。堅気の道を歩もうと従軍した三男マイケル(Michael), も、恋人ケイ(Kay Adams)と祝福に駆けつけてきます。その後日、麻薬を商売とするソロッツォ(Sollozzo)からの誘いを断ったヴィトが、ソロッツォの部下に銃撃されてしまいます。何とか一命を取り留めた父の窮地を救うため、ひとり堅気な人生を送ろうとしていたマイケルはマフィアの世界へ足を踏み入れるのです。それを機に、ニューヨークは抗争の場と化していきます。

ドン・ヴィト・コルレオーネ

意識を回復するもまだ体調は万全ではないヴィトは跡継ぎとなるソニー (Sonny)の死にショックを受けつつ、犯罪一族タッタリア(Tattaglia) との手打ちを決めます。コルレオーネに次ぐ勢力を誇るバルジーニ(Barzini)が仲介役となって五大ファミリーの会合が開かれ、その場でヴィは麻薬取引を部分的に認めつつ、残る息子マイケルの身の安全を要求し、タッタリアとの講和が結ばれます。その帰途、ヴィトは彼の顧問であったトム(Tom Hagen)に今回の騒動の黒幕はバルジーニ(Barzini)だと指摘します。

Michael Corleone

ヴィトは帰国したマイケルを正式にファミリーの跡継ぎにすることを決め、自らは相談役として退きます。若く新参のマイケルに不安を覚える部下たちも多い中、マイケルは5年以内にファミリーを合法化して一部のシマは譲ると言い、また有能ですが平時の人材と目する義兄トムを遠ざけ、ファミリーの仕事をしたがっていた義弟カルロ(Carlo)を抜擢します。加えてマイケルはケイと再会して結婚し、2人の子どもをもうけるのです。

ヴィトは、ゴッドファーザーとして家族の者達に次のような教えを伝えるのです。
 「家族を大切にできないやつは、本当の男じゃない。」
 「権力があるところには、必ず責任もある。」
 「注意深く、男は一瞬でも油断してはいけない。」

懐かしのキネマ その60 【市民ケーン】

映画『第三の男』(The Third Man) などでの個性的な演技で名優として知られ、映画監督としても数々の傑作を残したのがオーソン・ウェルズ(Orson Welles)です。ウィスコンシン州ケノーシャ(Kenosha)の出身です。子ども時代の彼は、詩、漫画、演劇に才能を発揮する天才児と呼ばれ、同時に自由奔放な性格で、周りとの人間関係に問題があったようです。今様でいえば発達障害だったのかもしれません。

Citizen Kane

ウェルズは、25歳で始めてメガホンをとり、映画『市民ケーン』(Citizen Kane)を製作します。この作品で数多くの斬新な撮影技法を駆使します。例えば、超クローズアップ、CGの無い時代にネオン看板を上下に切っておいてカメラが通り抜ける瞬間持ち上げ手法、画面全てに焦点を合わせる撮影技法パンフォーカス、低い視点から仰角気味に撮影するローアングル、ヒットラー(Adolf Hitler)など歴史上の人物とフィクションの人物を一緒の映像に取り込む手法などです。こうした手法は、現在でも映画製作の分野できわめて高く評価されているようです。

新聞王

「市民ケーン」(Citizen Kane)は、カリフォルニアの新聞王ウィリアム・ランドルフ・ハースト(William Randolf Hearst)をモデルにした作品です。メディア界に君臨したハーストは、合衆国下院議員、ニューヨーク市長となり、さらにニューヨーク州知事の選挙にまで出馬しますが落選します。それでもライバルを蹴落とし、メディア帝国を築いていくのです。ウェルズはこの新聞王のプライベートな側面を暴き、ハースト自身を激怒させたともいわれます。「市民ケーン」は、スキャンダラスな内容を描く映画の元祖ともいわれます。こうした「実在モデル映画」の手法は、チャップリン(Charles Chaplin) の『独裁者』にヒットラーを登場させたことに似ています。ウェルズは権力者の持つ個性に強い関心を抱き、映画製作にそれを反映していきます。

懐かしのキネマ その58  【星の王子ニューヨークへ行く】

【Coming to America】は、1988年制作のこれぞというロマンティックコメディ作品です。
アフリカの王国ザムンダ(Zamunda)は、風光明媚な自然と豊富な資源に囲まれた国です。21歳の誕生日を迎えたアキーム王子(Akeem Joffer) は、過保護な両親に育てられます。父親のジョフィ・ジャファ国王(King Jaffe)によって勝手に自分の花嫁を決められてしまうような、未だに何一つ自分で決断させてもらえません。それに不満を持つ王子は、「自分の嫁は自分で見つけたい」と伴侶探しの旅に出たいと願い出ます。国王はアキームの申し出を「結婚する前に女遊びがしたい」と解釈し、息子の希望を快諾しアメリカへ送り出します。

アキームは世話係のセミ(Semmi) を連れニューヨーク(New York) のクイーンズ (Queens)にやってきます。アキームは安アパートの一室に大満足です。なぜならこれがニューヨークだ、と大いに気に入るのです。汚いアパートを借りたアキームは早速花嫁探しで酒場などを歩きますが、なかなかええ女性を見つけられません。

Akeem & Semmi

そんな中、慈善イベントでリサ(Lisa McDowell) という女性に一目惚れします。アキームは、セミとともに彼女の父親が経営する「McDOWELL(マクドゥーウェル)」というハンバーガーショップで「アフリカからの留学生」として働くことになります。掃除の仕方、ハンバーグの焼き方を学びます。リサには父親が決めたダリル(Darryl) という金持ちで遊びや風の婚約者がいましたが、誠実なアキームに次第に惹かれていきます。

一方、ニューヨークに女遊びをするつもりでアキームについて来たセミは、貧乏生活に嫌気が差し、部屋を改装し、贅沢な生活を始めます。しかし、部屋にリサを招きたいアキームは管理人の部屋と交換し、セミの小遣いを没収します。困ったセミは「遊興費がなくなったので100万ドルを送金して欲しい」と国王に電報を打ち、怒った国王は王妃とともにニューヨークにやってきます。

セミから事情を聞いた国王と王妃はアキームがいるリサの実家を訪れ、彼女に「アキームは女遊びをするために君を選んだだけだ」と告げます。国王はリサの父親に200万ドルで手をうとうと申し出ます。ショックを受けたリサは家を飛び出し、それを知ったアキームはリサを地下鉄まで追いかけます。誤解は解けたものの、「王子とハンバーガー屋の娘では一緒にいられない」と告げられます。アキームは「王位継承権を放棄する」と地下鉄の乗客の前で宣言するのですが、リサは地下鉄を降りどこかへ走り去ります。

帰国の日、アキームの気持ちを知った王妃は、アキームとリサの結婚を認めるように国王を説得します。「我が国のしきたりだ。どうすれば変わる?」と訊く国王に対し、「あなたが国王でしょう」と答える。結婚式の日、浮かない顔のアキームが花嫁のベールを上げると正体はリサでした。結婚式が盛大に行われ2人は結婚します。

懐かしのキネマ その57 【グッド・ウィル・ハンティング】

この映画は1997年に製作され、その原題は「Good Will Hunting」といいます。数学のノーベル賞 (Nobel Prize) といわれるフィールズ賞 (Fields Medal) 受賞者でマサチューセッツ工科大学(MIT) 数学科教授のジェラルド・ランボー (Gerald Lambeau) は、数学科の学生たちに代数的グラフ理論(Graph theory) の難問を出します。世界屈指の優秀な学生たちが悪戦苦闘する中、いとも簡単に正解を出す者が現れます。その人物は学生ではなく、大学でアルバイト清掃員として働く孤児の青年ウィル・ハンティング(Will Hunting)でした。

Will Hunting

ランボー教授はウィルの非凡な才能に注目し、彼の才能を開花させようとします。ですがウィルはケンカをしては鑑別所入りを繰り返す素行の良くない青年でした。ランボーはウィルを更生させるため様々な心理学者にウィルを診てもらうのですが、皆ウィルにいいようにあしらわれ、サジを投げ出す始末です。ランボーは最後の手段として、学生時代の同級生ジーン・マグワイア(Sean Maguire)にカウンセリングを依頼します。ジーンはバンカーヒル・コミュニティ・カレッジ(Bunker Hill Community College)で教壇に立つ心理学の講師で、ランボーとは不仲でした。ジーンはウィルの更生のため協力することになります。

ジーンは大学講師として表面的には平凡な社会生活を送りながらも、最愛の妻をガンで亡くしたことから孤独に苛まれていました。事情を知らないウィルは当初ジーンをからかうのですが、やがて互いに深い心の傷を負っていることを知ります。それは、二人とも小さい時、親から虐待を受けて育ったということを打ち明けたからです。ジーンは、ウィルの反抗的な生き方が小さい時に受けたトラウマ(trauma) を引きずっているからだと考えます。そして次第に二人は打ち解けていきます。

Sean & Will

ランボーは、ウィルにある仕事を世話します。そしてランボーとジーンは和解します。ジーンは大学から有給の休暇をとり出掛けていきます。ウィルの友人らは、彼の21歳の誕生日祝いとして通勤のためにシボレー車をプレゼントします。ウィルはジーンに置き手紙を書き、ランボーからの仕事を辞退して、元ハーバード大学の女学生で恋人のスカイラー(Skylar)に再会するためにカリフォルニアへ行くと伝えるのです。

懐かしのキネマ その56 【ミセス・ダウト】

 原題は【Mrs. Doubtfire】といいます。サンフランシスコ(San Francisco) に、失業した声優、ダニエル・ヒラード(Daniel Hillard)という3人の子どもの子煩悩な父親住んでいます。妻ミランダ(Miranda)は、収入のない夫に代わって、やり手デザイナーとして一家の家計を担っています。帰宅しても家事に全く協力せず子ども達との遊びにかまけている夫や、自分だけが仕事に家事にと追われていることに強いストレスを感じています。

 長男クリス(Chris) の誕生日、ミランダの留守中に自宅でパーティを開き、大騒ぎを起こしたダニエルに、ミランダの堪忍袋の緒が切れます。そして彼女から離婚の意思を告げられます。生活能力のないダニエルは養育権を奪われ、週一度の限られた時間にしか子どもたちに会えなくなります。

ミセス・ダウトファイアー

MRS. DOUBTFIRE, Robin Williams, 1993, TM and Copyright © 20th Century Fox Film Corp. All rights reserved..

 やがてミランダは仕事の忙しさでメイドを募集します。そのことを知ったダニエルは一計を案じ、メイクアップアーティスト(Makeup artist)の兄の手を借りて、イギリスの老婦人ミセス・ダウトファイア(Mrs. Doubtfire)にすっかり変身します。持ち前の演技力と女装で見事にミランダを騙し、メイドとして最愛の子どたちのそばにいられることになります。
 約束の時間に自宅を訪問し、上品でしっかりしたイメージを植え付け、ミランダに気に入られるのです。帰宅すると家庭訪問員に出くわしてしまうダニエルです。ミセス・ダウトファイアーとダニエルを交互に演じつつ、どうにか難を逃れます。翌日からミセス・ダウトファイアーは本領を発揮します。子ども達には笑顔で厳格に接し、だらだらと過ごさせないよう躾をしていきます。家庭のことなど一切やったことのないダニエルですが、料理本とにらめっこしつつ、夕食作りをするも当然失敗します。

 ダニエルはミセス・ダウトファイアーとして完璧に演じるべく、メイドの仕事を熱心に勉強します。子ども達の世話と夕食作りに精を出し、家族との友好と信頼を築き始めます。後日、ミセス・ダウトファイアーはミランダとゆっくり会話をする機会を得ます。そこで元夫ダニエルと離婚した本当の理由を聞くのです。3カ月後、離婚調停に出廷したダニエルは、自分から子どもを取り上げないで欲しいと必死に言葉を探します。ミセス・ダウトファイアーとして家族に近づいたこともあり、裁定は厳しいものになります。

 ミランダは新たにメイドを探し始めますが、ミセス・ダウトファイアーに勝る人物は見つかりません。その時、テレビからミセス・ダウトファイアーの声が聞こえてきます。慌ててテレビを観た家族は、そこに懐かしい顔を見ます。教育番組のホストとしてミセス・ダウトファイアーが出演していたのです。

 変装していたのはダニエルですが、架空のミセス・ダウトファイアーという人は、子ども達とミランダ、演者であるダニエルでさえも変えていったのです。ミランダはテレビ局にいるダニエルへと会いに行きます。

懐かしのキネマ その55 【ユー・ガット・メール】

今やメールは全く当たり前のコミュニケーションの手段となっています。1998年に作られたこの【ユー・ガット・メール】(You’ve Got Mail) は、メールの面白いエピソードを取り上げています。ニューヨークの片隅で、主人公のキャスリーン (Kathleen) は、母親の代から続く老舗の小さな絵本専門店「街角の小さな本屋さん」を経営しています。彼女が使うメールのハンドルネーム(handle name) は「Shopgirl」です。彼女には同棲している恋人がいるのですが、インターネットで知り合った、同じくハンドルネーム「NY152」という男とのメール交換が心の糧となっています。

そんな時、キャスリーンの店のすぐ側に、カフェを併設したディスカウントショップの書店「フォックス・ブックス」(Fox Book) が開店します。フォックス・ブックスの跡取りはジョー(Joe)といいます。コーヒーを提供して大繁盛し、代わりにキャスリーンの店は売り上げが落ちて行きます。このままでは店は潰されてしまいます。やがて、従業員は1人、2人と辞めていきます。。キャスリーンとジョーは実生活では商売敵として顔を合わせば喧嘩ばかりしています。ジョーの正体を知って、キャスリーンは怒り始め喧嘩になってしまう有様です。それでも「Shopgirl」と「NY152」はメールで嫌な事があったと語り合います。

キャスリーンがスーパーで買い物をしていると、クレジット払いができないレジに来てしまいます。ジョーが助けてくれますが、キャスリーンは不満の様子です。大型店に客を取られているキャスリーンは、「NY152」にどうすれば良いか相談します。「NY152」は死ぬ気で戦うべきだとアドバイスします。キャスリーンの店では閉店セールが開催されます。その後、キャスリーンはジョーの店に行って、本の知識の無い店員に代わって接客をします。

そんな2人ですが、家に帰れば「Shopgirl」と「NY152」として、その日にあった事をメールで報告したり、お互いを励まし合う間柄になっています。メールを通じて2人はますます惹かれ合っていきます。お互い相手の正体に気付かぬまま…。2人のメールで「NY152」は午後4時に会おうとメールをしてきます。キャスリーンは戸惑いながらも、時間だからと約束の場所へ向かいます。「NY152」は約束の時間に飼っている犬と行くことを伝えていました。キャスリーンの前に、ジョーと犬が現れます。キャスリーンはジョーで良かったと言い、ジョーは「Don’t cry,,,」とキャスリーンの涙を拭き、2人は抱擁しあいます。

懐かしのキネマ その54 【タイタニック】

1912年4月10日、イギリスのサザンプトン港(Southampton)から当時史上最大の豪華客船タイタニック号(Titanic)はニューヨーク(New York) への処女航海(maiden voyage) へと出発します。2,224名の乗客と乗組員を載せて、北大西洋のカナダの東海岸、ニューファンドランド沖(Newfoundland)で氷山と衝突します。乗客には富裕層の人々の他に、イギリス(Great Britain) やアイルランド(Irland)、スカンジナビア(Scandinavia)諸国からの大勢の移民がいたといわれます。沈没によって1,500名以上の乗客が亡くなったといわれます。

Titanic

映画【タイタニック】を製作、監督したのはカナダ人のジェームズ・キャメロン(James Cameron)です。『ターミネーター』(The Terminator)、『アバター』(Avatar)などを製作しています。主演はレオナルド・デカプリオ(Leonardo DiCaprio)やケート・ウィンスレット(Kate Winslet)、そして音楽を担当したのは、ジェームズ・ホーナー(James Horner)です。

上流階級の令嬢だったローズ・ブケイター(Rose Bukater) は、その婚約者のキャルドン・ホックリー (Caledon Hockley) と未亡人となった母と共にタイタニック号へと乗船します。ローズは半ば強制された婚約に気分は晴れないでいました。ブケイター家は破産寸前で母親がホックリー家の財産を目当てにした結婚を強制したのです。タイタニックには、画家を目指しているジャック・ドーソン(Jack Dawson)という貧しい青年がいます。彼は、新天地ニューヨークでの成功を夢見て、出港直前にポーカーで船のチケットを手に入れ、友人のイタリア青年と共にタイタニックに乗船するのです。

Jack and Rose

ローズは両家の政略結婚話に嫌気がさし、甲板から飛び込み自殺をしようとします。それを発見したのがジャックです。この運命的な出会いを機に、ジャックは、ローズの部屋でスケッチ画をしてやります。こうして2人は身分や境遇を越えて互いに惹かれ合っていきます。