リベラルアーツ教育  その11 「日本巡察記」と日本人の宗教的素質

A-Valignano worldheritage u01-1ローマイエズス会の司祭アレッサンドロ・ヴァリニャーノ (Alessandro Valignano) 「日本巡察記」の二回目です。この書物はイエズス会が日本に最高監督者として派遣したヴァリニャーノのイエズス会総長にあてた日本伝道に関する報告書です。時代は1580年代です。

ヴァリニャーノは、当時の日本人の宗教に対する素質や宗教的な生活を立派に続けていく素質を疑っていません。日本人が宣教師と必要な素養を三つあげます。第一は天分、第二は堅固な根気強さ、第三は徳操と学問です。ヴァリニャーノはこの三つの素養が日本人に備わっていると断言します。短い滞在ながらその観察眼には驚かされるほどです。

特に取り上げたいのは学問についてです。セミナリオやカレジオではラテン語が重視されます。ローマの公用語であり学問で必須の科目でありました。聖書がラテン語で書かれていたからです。日本人にとって極めて新しい言語で、用語が日本語にないこと、文法が日本語とは異なることなど、習得にがはなはだ困難であったにもかかわらず、日本人は非常に鋭敏かつ懸命で思慮深く、よく学ぶ態度に驚嘆した、とヴァリニャーノは記します。子供でも大人と同様に3、4時間も席から離れず熱心に勉強する姿勢にも心がうたれたようです。

日本語の習得が難しいのと同様にラテン語を日本文字で書いて習得し、楽器を奏でたり歌うことを学び、意味が分からなくても容易に暗誦するとも記しています。ヴァリニャーノは、こうした日本人の天性や根気強さ、学問の高い吸収力などを観察しながら、ラテン語文法が日本語で説明され、将来辞書や参考書が作られれば、ラテン語を短期間で習得するのは間違いないとさえ断言しています。

それと同時に、イエズス会の修道士や教会の奉仕する人々とは通訳を介して話をしなければならず、ポルトガル語を話したり理解できる者がいないことを嘆いていました。そこで、ヨーロッパからの司祭達が日本語を学べるようにすることの必要性を感じます。そうした動機によって日本文典と日本とポルトガル語 (葡萄牙) 辞典を作製します。

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