音楽の楽しみ その12 合唱曲の数々 「カンタータ」

今年の「復活祭」、イースター (Easter) は3月27日。春分後、最初の満月のあとの日曜日と定められています。ですから毎年復活祭の日は異なります。このとき教会では特別な音楽が演奏されたり歌われたりします。カンタータ(Cantata-Kantate)もそうです。

カンタータというのは、器楽の伴奏に合わせて演奏される曲のことです。17世紀後半にイタリアで作曲されて広まります。バロック期 (Baroque) の作曲家、アレッサンドロ・スカルラッティ (Alessandro Scarlatti) がその基礎をつくります。やがて18世紀にはドイツにおいて、ルーテル教会などで演奏するために作曲されていきます。そのために、教会カンタータ (church cantata) と呼ばれるようになります。一般に演奏される世俗的なカンタータもあります。

主にプロテスタント教会 (Protestant Church) の礼拝用に書かれたのが教会カンタータです。オーケストラの伴奏による合唱 (コラール: Choral)と独唱(アリア: Aria) が交互に歌われます。合唱は礼拝に集う会衆がみんなで歌うものです。歌詞は聖書から引用されます。

教会カンタータの中でよく知られているのが、「目覚めよと呼ぶ声が聞こえあり (Awake, calls the voice to us) (Wachet auf, ruft uns die Stimme)」として歌われる「カンタータ140番」や「心と口と行いと生きざまもて(Heart and mouth and deed and life) (Herz und Mund und Tat und Leben) 」というカンタータ147番です。合唱と管弦楽の響きは素晴らしいものです。おそらく多くの人は、このいずれかをどこかで必ず聴いています。

数多くのカンタータを作曲したのはヨハン・セバスチャン・バッハ (Johann Sebastian Bach) です。その作品の主題目録番号はBWVと呼ばれています。BWV1から231は教会カンタータ、世俗カンタータ、そしてモテット (mottetto) から成ります。

「聖書の言葉を牧師が説明し、聖書の物語を音楽で再現する」ために、合唱と独唱を組み合わせたカンタータが広まったとされます。特に会衆みんなが歌うことを重んじた宗教改革者として知られるマルチン・ルター (Martin Luther) の考えに沿ったのがカンタータです。

今や多くのプロテスタント教会の通常の礼拝においても、カンタータは部分的ですが演奏されます。北大合唱団でもこの140番を取りあげました。その頃、私はこれが優れた宗教作品であることは理解できませんでした。私は信仰に対する畏敬の念や作曲家の想いへの理解がいかに浅薄であったかということです。

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