懐かしのキネマ その115 【レミゼラブル】

【レミゼラブル】(Les Misérables) は、ヴィクトル・ユーゴー (Victor Hugo)が1862年に執筆したロマン主義(Romanticism)フランス文学の大河小説です。この小説を長い時間をかけて読んだ記憶が甦ります。Misérablesとは「悲惨な人々」という意味です。は2012年12月に公開され、イギリス・アメリカ合作のミュージカル映画ともなりました。2時間半のそれを紹介することにします。

Les Misérables & Jean Valjean

大勢の囚人たちが力を合わせて巨大な船を曳いています。船を曳き終わると、警部のジャベール(Javert)が1人の囚人の番号を叫びます。その囚人の番号は24601で、彼に仮釈放の紙を渡します。こうして囚人のジャン・バルジャン(Jean Valjean)は釈放されます。あてもなくバルジャンは、ある教会に入ると、ミリエール司教(Bishop Myriel) から暖かい食事と寝る場所を提供されます。彼は感謝もせず、無我夢中で食べたあと、食器を盗んでしまいます。翌朝、教会の人に捕まってしまったバルジャンに、司教は慈悲の心で彼を許します。その司教の態度に感動したバルジャンはその後、猛勉強の末、過去を清算し、多くの人が貧しさでごった返していたモントルイユ(Montfermeil)の市長になります。

その街に、かつてバルジャンが囚人時代に世話になったジャベールが訪れます。そしてバルジャンと面会した彼は、素晴らしい市長であると感じます。しかしある時、通行人の馬車を持ち上げたバルジャンの姿を見たジャベールは、囚人時代に丸太を持ち上げたバルジャンの姿を思い出し少し疑いを持ちます。

工場で働く1人の女性がいました。ファンティーヌは(Fantine)です。皆から隠し子がいることを噂されて、クビになってしまいます。そしてお金がなくなったため、自分の娘のために髪の毛、歯、さらには自分の体まで売って、身も心もずたずたになっていきます。バルジャンは貧民街を歩いていたときに偶然ファンティーヌを見つけ、ジャベールに逮捕されそうになっている彼女を助け、病院に連れていきます。ジャベールは、バルジャンを疑ったことを謝罪します。それを聞いたバルジャンは、良心の呵責にさいなまれ、自分が囚人24601であったとジャベールに告白します。

バルジャンは病院へ走り、ファンティーヌの最期を看取りながら、彼女の娘を保護することを約束します。その場に現れたジャベールは、市長がバルジャンだったことに驚きながらも彼を逮捕しようとします。そしてバルジャンは川に身を投げて逃亡します。安い酒屋で働かされているファンティーヌの娘コゼット(Cosette)は、養父母からの過度の虐待に耐えながらも必死に毎日を生きていました。水汲みへ行ったとき、偶然バルジャンがコゼットを見つけます。彼は酒屋の主人にお金を払うと、コゼットを連れていきます。そして夜、ジャベールに見つかったバルジャンは、すぐさま修道院へと逃げ込み、ジャベールをまきます。バルジャンを捕まえることができなかったジャベールは、必ず捕まえると決意を固めます。

時が経ち1832年、学生たちは自由を求めてフランス第一帝制打倒の組織を作ります。そんな学生の一人、マリウス(Marius)は、街で美しい女性を目にします。その女性は、ある男の人と一緒にいました。そこにジャベールが現れ、バルジャンはすぐさま姿を消します。マリウスはコゼットを探し当て、夜な夜な会いにいきます。その姿を悲しく見ていたのが、密かにマリウスに恋をしていた酒屋の娘、エポニーヌ(Eponine)でした。彼女はマリウスを愛することはできないと悟ります。革命の足音が近づくなか、弁護士となったマリウスは帝政との戦いに身を投じていきます。

そのマリウスのグループに、一人身分を隠して入る人がいました。その人はジャベールでした。侵入したジャベールは、逆に内部の子どもに正体を見破られ、拘束されてしまいます。マリウスはコゼットへの手紙を書いて送ります。その手紙を読んだバルジャンは、二人の真実の愛を知り、マリウスに会いにいきます。そしてジャベールと会い彼を許します。

帝政側の総攻撃が始まり、多くの若き革命戦士が死亡していきます。マリウスも銃弾に倒れ、バルジャンは下水道を伝いながら彼を担ぎ、逃亡します。ジャベールはバルジャンの崇高な精神に負けて、自らダムに身を投げます。バルジャンはマリウスを匿い、彼が回復するとコゼットに会わせます。バルジャンは二人の幸せを願うとともに、マリウスに、自分の過去を伝えます。コゼットに伝えることができない彼はその場を去ります。

そしてマリウスとコゼットは結婚式を挙げ、その場にいた酒屋の主人がバルジャンの居場所を知っているというので、すぐさまバルジャンのところへコゼットとともに行きます。そしてバルジャンは修道院で彼らと再会を果たします。再びコゼットと会えたバルジャンは涙し、コゼットに自分の過去を書いた手紙を渡します。そして彼は2人の結婚を見届けて静かに息を引き取り、コゼットとマリウスはバルジャンの言葉を固く守る誓いを立てます。