以前、このブログで書いたことの続きと回想である。四半世紀以上も前、沖縄へ旅していたとき家内の胸部にしこりが見つかった。急ぎマディソンに戻り、ウィスコンシン大学病院へ入院し診断の数日後手術を受けた。
主治医のDr. George Bryan教授から手術の経過を聞くと、胸の周りにある12のリンパ腺に既にガン細胞が広がっていて全て除去したとのことだった。手術の経過を二人できいた。説明によれば最悪のガンの一つで、術後一年内に死亡するのは50%だという。この数字は全米の大学病院や総合病院をつなぐネットワーク上のデータベースによってわかるというのである。ガンの種類、人種、年齢、治療法などを組み合わせることによって、患者の生存率がわかるということだった。
化学療法(chemotherapy)による抗ガン剤にはたくさんの種類があり、それを組み合わせて治療すること、投与後の患者の様態をみながら薬の配合を変えるなどとのことだった。これを多剤併用療法という。こうした多剤併用による治療の効果は、ネットワーク上のデータベースによってわかるのだという。
一つのエピソードだが、Bryan教授は私が苦学生であることを知っていたので、高い入院や治療費のことを心配してくれ、自分が受ける報酬を返上してくださった。幸い私は家族の保険に入っていたので、診断から治療まで保険でカバーされた。一セントも払わなかった。
ガン研究とガン治療もネットワークのデータベースによって後押しされていることを実感した。33年も前のことである。