給付付き税額控除とは その6 イギリスの社会保障給付制度

主にイギリスで導入されている低所得者向けの総合的な社会保障給付制度がユニバーサル・クレジット(Universal Credit)です。バラバラだった6種類の福祉手当をオンライン申請で一本化し、「働くほど収入が増える仕組み、つまり就労インセンティブ」を重視している点が特徴です。

 イギリスでは、2013年から段階的に導入が進められている制度です。その具体的な仕組みと特徴は以下の通りです。
1) 制度の主な特徴6つの給付の一本化:
 これまで別々に管理されていた求職者手当、住宅手当、児童税額控除など6つの手当が「ユニバーサル・クレジット」として一つに統合されました。

参考資料: Office for National Statistics

2) 働く意欲の向上と貧困の罠の解消:
 従来は一定時間以上働くと給付金が大きく減額され、かえって手取りが減る「働くほど損をする」構造がありました。ユニバーサル・クレジットでは、収入が増えても給付金が段階的に減っていく仕組みを採用し、働くメリットが生まれるように設計されています。

3) オンラインによる単一窓口:
 原則としてデジタルでの申請と管理が行われ、所得状況に応じて月単位で給付額が自動調整されます。構成される手当基本となる基礎手当に加えて、扶養する子どもの数障害の有無や介護責任住宅費の状況に応じて加算が行われます。

 その他、カナダの制度は、勤労給付(Canada Workers Benefit, CWB)とかカナダ児童手当(Canada Child Benefit, CCB)があり、低所得勤労者や子育て家庭に対して、税額控除と現金給付を組み合わせた支援が行われています。フランスでは、活動手当(Prime d’activité)という働く低〜中所得者に対する給付付き税額控除的制度で、所得に応じて現金給付が行われています。

 日本の社会保障政策の議論においても、この制度はしばしば参考にされています。日本では生活保護や児童手当、就学援助など多くの制度が縦割りで存在しているため、これらを統合し簡素化して、マイナンバーなどを活用する確定申告によって個人の正確な所得資産を把握するなど、制度設計や実施方法を検討しつつあります。こうして以上のような海外制度を参考にして効率的かつ柔軟に給付を行おうとする「日本版ユニバーサル・クレジット構想」が一部の政治家や有識者から提唱されています。

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