認知心理学の面白さ その四十 論理情動行動療法の方法

論理情動行動療法(Rational Emotive Behavioral Therapy: REBT)とは、自滅的になって自分を苦しめてしまうような「不健康な感情」を変えていくように自分自身で取り組んでいく技法とされます。それは具体的にはどのような技法かについてです。

REBTは、まず不健康な感情に取り組むことから始めます。例を挙げると、登校しないとか、出勤しないという課題と取り組む前に、それに伴う不健康な感情である不安や怒り、うつといったことを健康な感情である悲しみや笑い、長閑することで生活を前向きに捉えようとします。

“It feels like people are always trying to avoid me.”

REBTでは、不健康な感情は自分の認知がつくり出していることを知ることにつとめます。他者の行動や過去のエピソードといったことが、自分を苦しめる不健康な感情を起こすとは考えないのです。外部のできごとを捉える認知の仕方が不健康な感情を生み出す主因であると考えるのです。

次ぎに、健康な考え方を身につけることだ大事だとされます。REBTは、認知を知覚に基づく事実認知、事実に基づく推論推論的認知、そして事実認知や推論的認知に基づく自分や他者、人生に対する評価という評価的認知の3種類に分類します。

認知の例とは次のような状態です。
—> 事実認知:あなたは眼をそらした。
—> 推論認知:あなたは私を嫌っている。
—> 評価認知:私は嫌われてはならない。

この認知の状態で、特に不健康な感情を生み出す認知は評価的認知にあります。自分や他者、そして人生への「理にそぐわない信念」といわれる「イラショナル・ビリーフ(irrational belief)」に注目します。「理にそぐわない信念」の例としては、「私は/あなたは/人生は、~ねばならない(must)/そうでなければ価値がない/耐えられない/絶対に!」といった強烈な思い込みです。