給付付き税額控除とは その3 財務省の意向

財務省の給付付き税額控除の導入についての意向を掘り下げることにします、財務省は、歴史的にその意義は認めつつも、実務面や財政面の課題が極めて多いため、慎重に精査すべき、というスタンスを長くとっています。「慎重に」とは、本質的にはこの制度を実施したくないという意味です。しかし、2025年後半から始まった政府の「税と社会保障の一体改革」や「国民会議での議論を経て、財務省も含めた政府の具体案が急速に形作られつつあります。

(読売新聞より引用))

 財務省がこれまで懸念してきたポイント及び、現在の具体的な検討の方向性は以下の通りです。財務省が最も懸念していたのは、「不公平な給付とか不正受給」と「財源の確保」です。次に正確な所得や資産の捕捉が難しいという公平性の問題があります。徴税するときはある程度の誤差が許されても、国から現金を配る給付となれば、1円の誤りや不正も厳しく批判されます。特に自営業者の所得、いわゆる「クロヨン問題」や、多額の資産を持ちながら「今年の労働収入はゼロ」という高齢者層に対し、正しく判定して現金を配れるのかという実務上の大きな壁があります。

 「クロヨン問題」とは、職業によって税務署が把握できる所得の割合に不公平があるという問題です。サラリーマンは所得の「9割」を把握される一方、個人事業主は「6割」、農林水産業者は「4割」しか把握されないとされていました。クロヨンとは、それぞれの捕捉率(9:6:4)の頭文字をとったものです。

 給付付税額控除には、事務負担の肥大化があるといわれます。全国民の所得状況をリアルタイムに把握し、税務署や自治体が個別に減税と給付の計算を行うには、多額のシステム投資と人手が必要です。単なる減税ではなく現金給付を伴うため、対象者の線引き次第では数兆円〜10数兆円規模の歳出が毎年発生するといわれます。財政規律を重視し国債の発行に慎重な財務省としては、確実な財源がないまま導入することに強い警戒感を持っています。しかし、システム投資は一過的な措置であり、長期的にはリターンが得られることを考えるべきです。

 財務省のスタンスをまとめると、かつては「所得が捕捉できない」「財源がない」と後ろ向きなのですが、現在は「働く現役世代の支援と就労促進に限定し、実務を極力シンプルにした給付制度」にするのであれば、社会保障改革の一環として本格的に制度化を容認するという現実的な姿勢にシフトしているといえます。

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