心理学のややこしさ その十五 ホーソン効果

アメリカはイリノイ州のWestern Electricという会社のホーソン工場(Hawthorne Works)で、労働者の作業効率の向上を目指すための調査から発見された現象です。ホーソン工場において調光が生産性に与える影響を調べていたところ、「生産性に関する実験を行っている」ことが被験者に知らされていただけで、光が明るかろうが暗かろうが生産性が上がるという結果になったというのです。

被験者となった働く人々は「見られている」と感じることによって「生産性の低い人間に見られたくない」という心理も働いて、実験条件によらず生産性が上がったというのでホーソン効果(Hawthorne effect)と名付けられました。

この調査は1924年から1932年に行われ、工場の何を改善すれば一番効果的かを調べることを目的とたのですが、労働者への環境や上司が関心を高めることが、工場内の物理的な環境を変えることよりも働く上では効果のあることが判明します。こうした結果を報告したのはHenry  Landsbergerという人です。

ホーソン効果は、プラセボ(placebo)と呼ばれる偽薬の効果にもあてはまりそうです。偽薬を飲んでいると本物の薬のように効果があると被験者が答える場合です。「Placebo」とはもともとラテン語で「私は喜ばせる」という意味だそうです。薬治療を受ける者が信頼する医師などに期待されていると感じることで、行動の変化を起すなどして、結果的に病気が良くなる、あるいは良くなったように感じる、さらには良くなったと医師に告げる現象をいいます。