【話の泉ー笑い】 その四十二 パントマイム その2 コンメディア・デッラルテ

現代のパントマイムといえば、チャーリー・チャップリン(Charles Chaplin)の無声映画を思い浮かべます。サイレント作品「街の灯:City Lights」は、盲目の女性との恋を悲しくも暖かに描き世界中で大ヒットとなったことは、すでにこのシリーズで紹介しました。丁度トーキーの波が押し寄せる頃です。英語圏においては、パントマイムという単語は、主にクリスマスに子ども向けに演じられるコメディ要素の強い伝統的演劇を指すようです。

City Lights

今日私たちが知っているパントマイムに強い影響を与えたものとして、ルネサンス期(Renaissance)のイタリアの即興喜劇で起こったコンメディア・デッラルテ(Commedia dell’arte) が引用されています。デッラルテとは、今で言う旅芸人一座のことです。ヨーロッパ全土を放浪し大道芸を行ったといわれます。ヨーロッパの各地を訪れるのですから、言語の壁を乗り越える必要がありました。そうしてパントマイムの技法が洗練されていったようです。

Limelight

コンメディア・デッラルテは観客を楽しませるために様々な手段を使ったようです。演技は誇張され、やがてラッツィ(Razzi)と呼ばれる独特の笑いのテクニックも編み出されていきます。時にはパントマイムやジャグリング、アクロバットなどの身体表現も交えて演じられます。仮面を使用する即興演劇の一形態で、演じる内容の多くは時代や社会の風刺喜劇が中心であったといわれます。