【風物詩】積極的差別是正措置(Affirmative Action) その三 ハーヴァード大学とノースカロライナ大学

アメリカ連邦最高裁判所の判決内容に戻ります。長年の伝統を覆し、最高裁はハーヴァード大学とノースカロライナ大学における人種差別を考慮した積極的差別是正措置(Affirmative Action)を事実上違法と判断しました。イデオロギーによって意見が分かれる中、保守派6名の判事を擁する大法廷は、積極的差別是正措置とは、民族や人種や出自による差別と貧困に悩む被差別集団の進学や就職や職場における昇進において、特別な採用枠の設置するというものです。ハーヴァード大学とノースカロライナ大学は、それぞれ米国最古の私立大学と公立大学です。

Harvard Yard

この判断は、長年支持されてきた数十年の判例を、共和党が任命した判事を含む最高裁の少数派によって覆されたものです。この判決により、公立・私立を問わず、大学やカレッジは、入学資格を持つ志願者の中から、どの志願者を入学させるかを決定する際に、多くの大学が現在でも必要だと主張している人種を考慮する、ということが難しくなります。

University of North Carolina at Chapel Hill

この判決は、女性が人工妊娠中絶を受ける権利が憲法で保障されるプライバシー権であると訴えたロー対ウェイド裁判(Law vs. Wade)を覆した昨年の重大な中絶判決と同様、長年の保守派の法主張が実現したことを示すものです。今回は人種差別を考慮した入学者選抜計画が憲法に抵触し、ほとんどすべての大学がそうであるように、連邦政府から資金援助を受けている大学にも適用されると認定しました。これらの大学は、特に志願者の人種を考慮する傾向が強いトップ校を中心に、入試方法の見直しを迫られることになります。ウィスコンシン大学マディソン校(University of WIsconsin-Madison)のジェニファ・ムヌーキン総長(Jennifer Mnookin)も入試方法を再検討すると表明しています。

合衆国大統領には最高裁長官を指名し、連邦上院の助言と同意を得て任命する強権が与えられています。最高裁は長官と8人の陪席判事で構成されます。最高裁は、人工中絶や同性結婚、銃規制など様々な社会的争点が判断され、国民生活の多岐にわたり影響を与える判断を示します。最高裁判事の構成は個々の大統領の任期を超えて、長くアメリカの社会に影響を及ぼしています。v