旅のエピソード  その51 サラダの注文とチップ

旅の楽しみはなんといっても夕食の時間です。一行の大学院生とで何を食べようか、どこの店に入ろうかと相談します。宿のフロントでいくつかの店を紹介してもらいます。宿の近くにはこじんまりとしたレストランがあるものです。さしずめファミリーレストランのような雰囲気です。いわゆる典型的なアメリカンフードを提供する店です。値段も安く安心して入れます。

アメリカンフードに定義はありません。西部にいきますとメキシコ料理、東部ではイタリア料理、南部ではフランス料理という具合に、多様な食文化が定着しています。共通しているグルメといえばサンドイッチとかハンバーガーでしょうか。サンドイッチは、トーストしたパンにたっぷりの具材を挟んだクラブハウスサンドが一般的です。3枚のパンを使い、具材を二段重ねにするのが主流で、崩れないよう上から爪楊枝などで留めるほど分厚いのが特徴です。ハンバーガーは、肉は牛肉100%と決まっています。あとは好みでチーズやレタスなどの野菜をのせて食べるのが一般的です。

次ぎにステーキです。アメリカのステーキは価格も手頃でカジュアルに食べられるお店が多いのが特徴です。観光客でも気軽にステーキを楽しめます。またアメリカの牛肉は脂質が少なく、日本の肉ほど胃もたれせずにすむのも特徴です。付け合わせにポテトや蒸し野菜をのせるでけでも十分なボリュームです。

さて、レストランでの一つのエピソードです。店に入るとウエイトレスがにこやかにやって来て席に案内してくれます。そしてやおら、メニューを一人ひとりに渡し、しばらくして注文をとりにやってきます。一緒の院生の一人は50歳くらいの方で、英語は苦手のようです。ウエイトレスは、「本日のお勧めは、、、、」といって説明してくれます。この説明は微に入り細に入りで、私でも全部を理解できないくらいです。この院生は「もう一度お願いします」と頼みます。ウエイトレスは、初めから詳細に説明してくれます。こちらの英語の理解力などは無視して、早口なのです。院生は再度「済みません、もう一度ゆっくりとお願いします」。

ウエイトレスは客に親切に対応しないと食事後のチップに響きますので、三回目の説明を始めます。そこで私の出番で通訳するとようやく注文ができます。前菜はサラダです。ドレッシングはなににするのかで、またまたちんぷんかんの対話となります。種類が多いのでなにがよいかがわからないのです。まさか「和風ドレッシング」というわけもいかず、知っていたイタリアン、フレンチということで落着します。ステーキの焼き具合には上手く対応できて、やれやれとなります。アメリカは「サラダボウル」とも形容されるほどです。