今回は高校の教職者陣についてです。アメリカの高校には、各教科担当の教師の他に特別支援教育の教師がいます。その他に、進路相談を担当する「ガイダンス・カウンセラー(Guidance Counselor)」、心理や学力検査を担当する「スクール・サイコロジスト(School Psychologist)」、貧しい家庭の保護者のカウンセリングを担当する「ソーシャル・ワーカー(Social Worker)」、職業実習を担当する「ジョブ・コーチ(Job Coach)」、言葉の遅れを指導する「言語治療士(Speech Therapist)」もいます。看護師ももちろんいます。こうした人々は教員免許状を持っていません。教師以外の者は「パラプロフェッショナル(Paraprofessional)」といいます。給与も教師とは違う体系となっています。学校は教師だけの集団ではないのが日本とは違うところです。パラプロフェッショナルを認定するのは、資格要件を規定する民間の認定機構です。
こうした教職員の業務は分業であるということです。自分の専門分野のことを仕事としているのです。例えば生徒の非行があるとすると、教科担当や担任がそれを受け持つのではなく、ソーシャル・ワーカーかスクール・サイコロジストです。原則、教師は専門分野以外のことができない仕組みなのです。
教員もパラプロフェッショナルも必ずといってよいほど修士号を持っています。特にパラプロフェッショナルというの資格要件がそうだからです。教師もまた大学院へいって勉強し、教える知識や技術を高めると給与が高くなるのです。博士号をもつともっと給料が上がります。アメリカの教職員の待遇としては、定期昇給だけでは不十分なのです。
アメリカの学校がこのように様々な専門家から成るのは、生徒のニーズが幅広いということです。その源は貧困とか家庭環境の悪さなどにあります。特に大都市の街中にある高校は問題行動の生徒が多いといわれています。時には校内に警官が巡回するのはこのような理由によります。大都会の真ん中にある学校で教職者は厳しい環境で仕事をしています。
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