原題は【The Heroes of Telemark】ですが、「テレマークの英雄達」の戦争活劇映画です。1934年にノルウェー(Norway)の企業ノルスク・ハイドロ(Norsk Hydroelectric)がヴェモルク(Vemork)に、肥料生産の副産物として世界で初めて重水を商業的に生産できる工場を建設します。第二次世界大戦勃発とともにナチスはノルウェーに侵攻し、この工場を占拠します。そして重水を生産しようとします。連合国はナチス・ドイツの核兵器開発を阻止するために、重水工場を破壊して重水の供給を絶つことを決定します。テレマーク県(Telemark)のリューカン(Rjukan)の滝にある60 MWのヴェモルク水力発電所が攻撃目標となります。
連合軍は、ナチスがこの工場を利用して兵器開発計画のための重水を生産することを心配します。1940年から1944年にかけて、ノルウェーの抵抗活動による破壊活動と、連合軍の空襲が計画されます。これらの作戦は、「グルース(Grouse)作戦とか「ガンナーサイド(Gunnerside)作戦」と呼ばれました。
グルース(Grouse)作戦では、イギリス特殊作戦執行部(Special Operations Executive: SOE)が、工場の上にあるハダンゲルヴィッダ(Hardangervidda)の地域に先発隊として4人のノルウェー人を送り込むことに成功します。後に1942年に、イギリスの空挺部隊によりフレッシュマン(Freshman)作戦が実行されますが、失敗に終わります。彼らはグルース作戦で送り込まれたノルウェー人たちと合流し、ヴェモルクへと向かう予定となっていました。しかしこれは、軍用グライダーがそれを牽引していたハリファックス(Halifax)爆撃機とともに目的地手前で墜落したために失敗します。他の爆撃機は基地に帰還しますが、それ以外のすべての搭乗者は墜落の際に死亡するか捕えられ、ゲシュタポにより処刑されてしまいます。
1943年に、イギリス特殊作戦執行部が訓練したノルウェー人の特殊部隊が2回目の作戦「ガンナーサイド作戦」(Gunnerside)で重水工場を破壊することに成功します。ガンナーサイド作戦は後に、イギリス特殊作戦執行部から第二次世界大戦でもっとも成功した破壊工作であると評価されます。こうした破壊工作によって、ナチスは重水生産工場の操業中止を決め、残りの重水をドイツに輸送することにします。ノルウェーの抵抗活動は、水深430mというティン湖(Lake Tinn)において鉄道連絡船「ハイドロ(Hydro」を沈め、重水の輸送阻止に成功します。