北海道とスコットランド その3 スコットランド人と日本のかかわり その1

明治政府は、いわゆるお雇い外国人を招いて富国強兵のために貢献してもらおうとした。その中にスコットランド人が多かったことも判明している。北海道開拓使もスコットランド系のアメリカ人を雇った。それは何故だったかが筆者の関心事である。それにはスコットランドの地理、気候、風土、歴史を調べることがどうしても必要のようだ。

今はテレビや新聞でスコットランドの歴史や政治が頻繁に報道され、我々に身近な地となっている。通称イギリス(UK)は、United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland(UK)のことである。スコットランドはUKの一部である。だがスコットランドは独特の歴史を有する。

スコットランドはブリテン島の北部に位置する。スコットランドの名称は、この地を統一したスコット人(Scots)に由来する。グレートブリテン王国(Kingdom of Great Britain)が成立するまでは独立したスコットランド王国であった。イスコットランド王国のイングランド王国との争いは長く続いたようだ。13世紀から14世紀にかけて両国間の緊張を象徴するスコットランド独立戦争が起こった。それから何百年も経ち、去る9月18日のイギリスからの独立の賛否を問うたスコットランドの住民投票もその延長にある。

スコットランドはグレートブリテン島の北部3分の1を占め、南部でイングランド国境に接する。東方に北海、北西方向は大西洋、南西方向はノース海峡およびアイリッシュ海に接する。自然環境も経済環境も厳しいことが察せられる。気候や風土は北海道に似ているようである。

スコットランド人(Scots)の気質としては、独創性、独自性が豊かだといわれる。それを起業精神につなげる識者もいる。スコットランドの自然と経済環境の厳しさにも由来するとされる。1701年にイングランド王国に併合されると、スコットランド人の就労の機会は先進地域のイングラントや海外への植民地へと向かっていく。

スコットランドの高等教育機関では、主に農業、工業、土木、獣医学、医学などの実学が重要視された。その理由は、イングランドにあるオックスフォード大学(University of Oxford)やケンブリッジ大学(University of Cambridge)などは、官僚を養成することを重視したことによる。スコットランドは「大英帝国の工場」と呼ばれた時期もあったようである。今も鉄道、鉄鋼、機械、石炭、畜産、綿織、海運、造船などが盛んである。

理論を実践に移し、ものづくりに傾注することの重要性を深く認識していたようだ。多くの技術が実用化され、スコットランドはやがて産業革命の中心地としての地位を確立していく。

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