アメリカ合衆国の州を愛称から巡る その38 『Land of Enchantment』とニューメキシコ州

ニューメキシコ州(New Mexico)は、美しい景観から『魅惑の土地』(Land of Enchantment)という愛称で呼ばれています。先住するインディアン部族は、「プエブロ族」(Pueblo) のような定住農耕民と「アパッチ族」(Apache)のような移動狩猟民とが混在しています。プエブロはトウモロコシの栽培を中心とした定住農耕生活を代々営んでいます。工芸品に秀でた文化を持ち、陶芸品や銀加工、インディアン宝石などは観光客に人気が高いです。

Adobe

州都はサンタフェ(Santa Fe)でスペイン語で「聖なる信仰」という意味です。「アメリカの宝石」と呼ばれ、歴史的な街並みや建築物を残し、独特の食文化を持つ観光都市として賑わっています。また、同市は芸術家が多く住み、美術品にあふれ、音楽祭や工芸祭が開かれ芸術の町としても知られています。サンタフェはやその周辺は自然景観や動植物などの自然美に富んでいることから、多くの芸術家を惹きつけてきました。

サンタフェには、ウィスコンシン州出身のジョージア・オキーフ(Georgia O’Keeffe)や協働したアーティスト、関連するテーマの作品を展示するジョージア・オキーフ美術館(Georgia O’Keeffe Museum)があります。オキーフは70年にも及ぶ長い画歴のなかで、ほとんど風景、花、そして動物の骨だけをテーマとして描き続けた独特の画家です。なかでも画面いっぱいに拡大して花の絵を描いた作品群や牛の頭蓋骨に威厳を込めて描いた作品群が、オキーフの名を一躍有名にしたことはつとに知られています。

Georgia OKeeffe

学会発表のため、私はニューメキシコを訪れたことがあります。最大の人口を抱える都市はアルバカーキ(Albuquerque)にはスペイン文化を色濃く残すオールドタウンが観光客を招き、一帯には多くの文化施設やカフェ、土産物店が軒を並べる近郊にはアメリカン・インディアンのアドビ(Adobe)呼ばれる日干しレンガによる積層集落が点在しています。アルバカーキはマイクロソフト(Microsoft) の創業者ビル・ゲイツ(Bill Gates) がBASICのインタープリタ(Interpreter)を開発し、はじめてのパソコンと言われるアルテア(Altair)用に移植したことでも知られています。