懐かしのキネマ その74 【グリーンブック】

人種差別が色濃く残る1960年代のアメリカ南部を舞台に、黒人ジャズピアニストとイタリア系白人運転手の2人が旅を続けるなかで友情を深めていく姿を、実話をもとに描いた作品が【Green Book】です。「グリーンブック」とは、黒人用旅行ガイド本の代名詞です。

Tony Lip & Don Shirley

舞台は1962年のニューヨーク(New York)です。人気の高級ナイトクラブで用心棒をしているトニー(Tony Lip)は、クラブが改装のため閉鎖になりしばらくの間、無職になってしまいます。トニーは、南部でコンサートツアーを計画する黒人ジャズピアニストのドクター・ドン・シャーリー(Dr. Don Shirley) のボディガード兼運転手として雇われることになります。当時は人種差別が根強く残り、「黒人専用ホテル」があったり、白人と同じレストランで食事をすることさえ制限される時代です。

粗野で無教養ですが口が達者で、何かと周囲から頼りにされているのがトニー。教養はあるものの気難しいドンというように、2人の出自も性格は反対です。黒人差別が色濃い南部へ、あえてツアーにでかけようとするドンと、「グリーンブック」 を頼りに、トニーはその旅に同行することになります。この2人がまるで違う価値観のもと衝突しながらも次第に友情を築いていきます。

アラバマ州(Alabama)バーミンガム(Birmingham) での最後の演奏会の夜、ドンは、白人専用のカントリークラブ内の食堂へ入ることを拒否されます。カントリークラブはドンに演奏を依頼していたのです。トニーは支配人と喧嘩となり、ドンは食事を拒否されたので、演奏はしないと宣言します。トニーとドンはカントリークラブを出て、黒人のブルースクラブに行って食事をします。そこでドンはピアノを演奏し、ショパンのエチュードホ短調 (Etude in E minor)を弾きます。2人は、クリスマスイブのためにニューヨークへ戻ろうとします。トニーは夕食を共にしようとドンを招待しますが、ドンは招待を断り自分の家に帰っていきます。1人で家で坐るドンですが、トニーの家へ行こうとします。そしてトニーの家族から大歓迎を受けるのです。