懐かしのキネマ その49 【ショーシャンクの空に】

原題は「The Shawshank Redemption」という映画です。冤罪、収賄、虐待、人権、友情などが入り交じった名作です。優秀な銀行員アンディ・デュフレーン(Andy Dufresne)は妻とその愛人を射殺した罪に問われ、無実を訴えるのですが終身刑の判決が下ります。そしてショーシャンク(Shawshank) という刑務所に収監されます。最初は刑務所の「しきたり」にも逆らい孤立していたアンディですが、刑務所内の古株で調達係のレディング「レッド」(Red) はアンディに他の受刑者達とは違う何かを感じ彼が気に入ります。

レッドは、屋根を修理する屋外作業のメンバーに彼を入れます。その作業の途中、アンディがハドレー刑務主任(Captain Hadley) に相続税対策について助言したことがきっかけになり、アンディは刑務官たちの資産運用や納税書類の作成などの仕事を引き受けるようになります。こうして刑務所職員からも受刑者仲間からも一目置かれる存在になっていきます。

そんなアンディを見込んだワルデン・ノートン所長(Warden Norton)から命じられ、アンディは賄賂や裏金といったノートンの貯め込んで表に出ない金を管理するようになります。アンディは刑務所内の図書室の再建や、囚人たちの教育にも熱心に取り組みます。所長は、囚人達の社会更生を図るという名目で、彼らを労働力として野外作業をさせ始め、そこからピンハネしたり土建業者達からの賄賂を受け取り始めるのです。そしてアンディは「ランドール・スティーブンス」(Randall Stevens)という架空の人物を作り出し、その多額の不正蓄財を見事に隠蔽するのです。

一方で、アンディが出そうとした再審請求はノートンにより阻まれます。ノートンの不正蓄財の事実を知り過ぎていたために、ノートンはアンディを外に出したくなかったのです。ノートンの命令により、アンディは2カ月あまりを穴倉のような懲罰房で過ごし、ようやく外に出ることが許されます。彼は元通り、所長の会計係としての仕事を続けます。

アンディにはある計画がありました。それは脱獄です。入所してから、アンディは聖書をくりぬき、その中に隠し持っていた小さなロックハンマーでこつこつと壁をくりぬいていました。その壁の穴はレッドの調達してきた映画女優のポスターで隠されていたのです。女優のポスターが何代も世代交代したのち、ようやく脱出口は完成します。そして、アンディはついにショーシャンクからの脱出に成功します。

アンディは所長の多額の不正蓄財について告発状を新聞社へ送ります。刑務所に捜査のメスが入り、ハドリー主任は逮捕され、所長は拳銃自殺します。アンディは、ノートンが貯め込んだ裏金を銀行から全て引き出しメキシコで自由の身となります。レッドは服役40年目にしてようやく仮釈放され、アンディの伝言を信じて彼が野原の木の脇に隠しておいたお金を見つけます。そこに残されたメモを見て、メキシコ(Mexico) のジワタネホ(Zihuatanejo) へ向かいます。そして、海辺で古いボートを修理し、悠々自適の生活をおくるアンディと再会を喜び合うのです。