心に残る名曲 その八十六 「キプロスの女王ロザムンデ」序曲

フランツ・シューベルト(Franz Schubert)は、日本で最も根強い人気のある作曲家の一人といってよいでしょう。たった31歳の生涯で、歌曲、室内楽、交響曲、そして劇付随音楽といわれる作品を600曲以上作ります。その半数が歌曲だったと音楽事典にあります。

ベルリン出身の女流作家ウィルヘルミネ・フォン・シェジー(Wilhelmine von Chezy)の戯曲『キプロスの女王ロザムンデ(Rosamunde, Queen of Cyprus)のために作曲されたのがこの曲です。シューベルトは付随音楽として序曲の他にも劇に沿った音楽をいくつか作曲していたようです。ですがこの序曲のみが演奏されることが多いようです。

 「ロザムンデ」のあら筋です。貧しい田舎町で育った少女ロザムンデ(Rosamunde)でしたが、実は地中海の王国キプロスの王女だったことが分かります。王国に戻り王位を継承してロザムンデが女王に即位すると、王宮では王女の権力を狙って求婚する者が現れたりします。それを嫉んで毒殺を企てたりする者まで現れ、王女は命を狙われるようにもなります。そこへ、若き青年が現れ王女の危機を救い、二人はめでたく結ばれるというお話。

この序曲は、低音から迫るトランペットと弦楽器の演奏から始まります。フルートとオーボエが弦楽器の静かなメロディに合わせて静かに曲が続きます。そして、トランペットが数回響き、曲が静かになります。この序奏が終わると、弦楽器が明るく爽やかな調子に変わります。賑やかで明るいフレーズが軽快に聴こえてきます。軽快なリズムに乗ってティンパニが轟くと迫力も伝わってきます。途中ではオーボエやフルート等の管楽器がやわらかく聴かせる部分をなんどか繰り返し、トランペットやトロンボーンが高らかに響いて終曲となります。演奏時間は約9分位です。

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