アメリカの学校は今  その十三 タマス・プリンス学校 (Thomas Prince School)

bragghall town_common_princeton_ma mamap今回はアメリカの田舎の学校です。マサチューセッツ州(Massachusetts)の州都ボストン(Boston)から西へ車で90分のところにあるプリンストン(Princeton)という小さな町の学校です。すぐ近くには広大なワチューセッッツ(Wachusette)州立公園があり、夏はハイキングやキャンピングで人々が憩い、スキー場が隣接していて冬の週末はたいそうな賑わいです。

プリンストンの人口3,700人。アメリカによくある田舎町です。プリンストンは豊かな森林資源を誇り、製材業、家具製作などで栄えた歴史があります。1800年代には鉄道も開通し、材木や製品の運搬に使われました。商人や旅行客も押し寄せホテルも繁盛しました。ですがこうした賑わいは戦後の自動車の普及ですっかり終わり、いまは静かな町となりました。農業は小麦が中心です。ブルーベリーやブラックベリー、リンゴなどのフルーツ農園があちこちに点在しています。

左上の写真は町役場の建物です。誠にもって風情のある姿です。このような規模の町ですから、学校や図書館は近隣の4つの町と一緒に運営しています。この学校区教育委員会はWachusett Regional School Districtと呼ばれ、二つの小中学校と一つの高校があります。Thomas Prince Schoolの学校名は、赴任してきた初代キリスト教会牧師の名前です。地域発展の黎明期は、多くの場合教会活動が活発な頃です。

Thomas Princeには、幼児から中学生までたったの150名くらいの子どもしかいません。ですが、言語治療士、障害児教育教師、発達障害教育教師、リソースルーム教師、図書館司書が常駐しています。私事ですが、二人の孫息子がこの学校に通い、発音の不規則さを指摘されて治療を受けました。校長は、自ら面接して教師を採用します。野外の運動場はすべて芝生。野球とサッカーが別々にできる広さがあります。芝の手入れはすべて機械でやります。数日毎に芝刈りをするのです。週末は試合があって保護者はチームの応援に駆けつけます。コーチは上手な子ども苦手な子どもも試合に出れるように配慮しています。お年寄りも折りたたみの椅子に座り、長閑に夕方の時間を過ごします。そして孫達の走り回る姿に目を細めます。