心に残る名曲 その二十三 「アンヴィル・コーラス」 イル・トロヴァトーレから

ヴェルディ(Giuseppe Verdi) 歌劇、イル・トロヴァトーレ(IL Trovatore)の合唱は「アンヴィル・コーラス」(Anvil chorus)として知られています。ジブシー(gypsy)の男たちが鍛冶仕事で金床(Anvil )をリズムよくハンマーで叩きながら歌うので、「鍛冶屋の合唱」とも呼ばれています。ジブシーは、かつてヨーロッパ各地にいた移動型の民族のことですが、今はこの言葉は使われません。

イル・トロヴァトーレは、中世の騎士物語ともいわれ、美女をめぐって生き別れになった兄弟の公爵と吟遊詩人の争い、ジプシー女の呪い、母娘二代にわたる復讐といった複雑な舞台劇です。

このオペラは華やかな旋律が歌手たちの声や合唱、管弦楽で満ちています。オペラ史上最大級の作曲家と呼ばれるヴェルディの作品のなかでも、これほど輝かしくも悲劇にふさわしく翳りあるメロディが展開するオペラはそうはないと「Encyclopaedia Britannica」でいわれます。

「鍛冶屋の合唱」は、ジプシーたちが夜明けに歌うことから別名『Coro di Zingari ジプシーの合唱』とも呼ばれています。次のような歌詞となっています。
”Singing the praises of hard work, good wine, and Gypsy women.His lovely Gypsy maid!”