懐かしのキネマ その81 【捜索者】

原題は【The Searchers】。南北戦争で南軍(Confederacy)に従軍したイーサン・エドワーズ(Ethan Edwards)は終戦後、テキサス(Texas) で牧場を営む弟アーロン・エドワーズ(Aron Edwards)の許に戻ってきます。出迎えたのはアーロンやその妻マーサ(Martha)、18歳の娘ルシイ(Lucy)、14歳になる息子ベン(Ben) 、9歳の娘デビー(Debbie) です。他にチェロキー族(Cherokee)との混血で、一家がコマンチ族(Comanches)に皆殺しにされたため引取られた若者マーティン・ポウレイ(Martin Pawley)にも会います。

翌日、牧師も兼ねるテキサス警備隊長(Texas Rangers) サム・クレイトン大尉(Captain Sam Clayton) の一行がやって来きます。隣人の牧場主ジョーゲンセン(Lars Jorgensen)の牛がインディアンに盗まれたので追跡するためです。イーサンとマーティンは隊に加わります。出発した捜索隊は途中、白人男子を家から誘い出すためのコマンチ族の仕業と知り、二隊に別れて捜索します。その間、エドワーズ(Edwards) 一家は皆殺しされ、ルシイとデビーは誘拐されます。犯行はコマンチ酋長スカー(Scar) と部下の仕業です。捜索隊はコマンチ族を追跡しますが劣勢のため退却します。復讐の念に燃えるイーサン、マーティンそしてルシイと愛し合っていた20歳になるブラッド・ジョーゲンセン(Brad Jorgensen) の3人だけ追跡を続けることになります。

数ヵ月後、3人はコマンチ族に追いつき、イーサンはルシイの死体を発見し埋葬します。インディアン宿営地近くでそれを知ったブラッドは狂気のようにコマンチ族目掛けて馬を飛ばし、非業の最期を遂げます。イーサンの敵慨心は更に硬くなります。やがて捜索2年目も過ぎイーサンは、デビーと血縁もないマーティンに平和な生活へ戻れとすすめるのですが、彼はきき入れません。その頃、イーサンは交易所の経営者から、報酬と引換えにデビーの居所を教えてもらいます。イーサンとマーティンは、誘拐されているデビーは酋長スカーと北方の保留地に向ったと聞いて直ちに出発します。やがてコマンチ族の交易所に立寄った時、マーティンはコマンチ娘ルック(Look)に惚れ込まれてしまい、珍妙な夫婦ができるのです。イーサンは酋長スカーらの居所を聞き出します。姿を消したルックは軍隊に襲撃された集落で死体となって発見されます。

アメリカ西南部を踏破した二人は、ニュー・メキシコ地帯(New Mexico) でメキシコ人エミリオ(Emilio)の案内から遂に目指すスカーの許に着辿り着きます。白人を憎悪するスカーです。その天幕には一人前の娘に成長したデビーの姿があります。ですが彼女は二人に気がつきません。怖気づいたエミリオは、スカーは全部知っているのだと言い立去ります。二人が去りあぐんでいる処に駆けよったデビーは「私は今ではコマンチです。帰って下さい」と言います。拳銃を手にしたイーサンはコマンチの狙撃に傷つき、マーティンの助けで辛うじて牧場へ戻ります。

折しも牧場では、警備隊員チャーリイとローリイの結婚式が行われようとしています。怒ったマーティンは花婿と拳銃で応酬し、結婚式はおじゃんとなります。やがてクレイトン指揮の警備隊はスカーのキャンプを急襲し、単身潜入したマーティンはデビーを救いスカーを射殺します。長年コマンチの許で暮したため、白人に敵意を持つようになったデビーをイーサンは殺そうと決意します。デビーを追いつめて銃口を向けますが、無邪気な表情に射つのを止め、馬上に抱き上げてブラッドの牧場に帰り着きます。愛するマーティンを迎えるローリイ。ジョーゲンセン夫人の胸にすがるデビー。6年間の使命を果したイーサンは満足気に一人去って行くのです。