ウィスコンシンで会った人々 その27 囲碁の基本 その三 大局観

囲碁では大局観ということがよく云われる。どんな戦術をたてるかとか、盤全体と部分を見渡すとか、石の強弱を判断するとか、といった判断力として使われる。だが云うや易くで、この奥義がわかれば今頃六段や七段になっているはずだ。

囲碁にはいろいろな格言というか味わい深いフレーズがある。ご存じ「岡目八目」もそうだ。対局者本人たちは気がつかないことでも、端で見ている第三者のほうが分かるという意味だ。傍観していても八目も先まで手を見越すという意味のようだ。目とは碁盤の目を指す。岡は「傍」という意味である。

「カス石は捨てよ」とは、用済みの石は積極的に捨てて、先手を取れという意味だ。局面をリードするには先手がとることだ大事なのである。カス石は捨石(すていし)とか、おとりとも呼ばれる。石を犠牲にすることで全体として利益を得ることという意味でもある。

「模様の接点逃がすべからず」というのもある。模様は厚みとも呼ばれ地を大きく囲うことである。盤上には自分と相手の石の接点がある。
お互いの模様の交わるところは価値の大きい手であるから、逃してはならないのである。

「分からない時は手を抜け」というのもある。打っていると、どこが大事かがわからないことがある。着手が分からないという場合だ。そのときは手を抜いて、状況を見渡してまた戻って考えてみよ、という意味である。迷って打つ手は得てして悪手になることが多いことの教訓である。

難しいのが「後手の先手」 という格言だ。この意味は、まずは後手になってもいいから自らの形を整えて、相手が手を抜いたら、その不備な点を咎めることが大事だということである。対局中はどうしても「先手は媚薬」という誘惑に駆られる手を打ちがちになる。あとでそれを後悔するというのがこの格言である。媚薬とはよくいったものだ。

格言にはまだまだ沢山あるが、筆者にとって痛い目にあったことの多いものを選んでみた。大局観が最も難しい。

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