IEPはどうなっているか その11 Santa Clara市学校区の教育心理的サービスに関する報告書 その3

Santa Clara市を訪問したとき、頂戴したIEP関連の書類に入っていた一生徒の記録である。このような書類を外部の者にくれるというのが興味あるところである。個人が特定されなければよいという考えがある。他の人にも役立ててもらおうという精神がある。以下にこの記録を紹介する。

【コミュニケーション】
1. 受容
Aは、SICDで受容言語年令が3才8か月の範囲にある。彼女は、48か月レベルにおいてもいくつかの正反応を示した。他者から言われることを真剣に聞こうとし、あるいは注意をそらさないでいれば、それを理解できる。彼女はうまく話し言葉をとらえて、1〜2つの指示を理解し、それに従うことができる。ただ複数の指示や3つの行動を含んだ指示に従うことは困難である。

2. 表出
Aの言語年令は、4才レベルまで正反応を示し、36か月の発達の範囲にある。彼女はしばしば誤って発音し、ほとんどの場合、正しい発音にならない。しかしながら、いくつかの音を正しい言葉により近いものにできる。3つの数と3つの単語の復唱ができるが、それ以上は困難である。何かをするに高い動機づけがある場合、よく知っている状況や自分の好きなことであれば5〜6語文を使うことができる。ものの機能を尋ねる質問、例えば、どんな本?とか、what、when、whoを含んだほとんどの質問に答えられる。難しいのは、複数形の使用、if-whatの質問への答え、’how many’を理解することなどである。

Aは、時々非常に早口で、甲高く、いななくような声で話しする。ゆっくりと話すことを求められれば、わかりやすく話しができる。だが相手に十分理解しやすいように話すよう求められるのは、非常に高いフラストレーションとなる。機嫌が良い場合には、上手に話し、まわりのほとんどの人が彼女の言うことを理解できる。

3. 地域社会
Aは、いろいろな地域社会資源を積極的に活用している。彼女は、商店、モール、郵便局、図書館、公園、博物館、特別な催しなどいろいろな場所へ2〜3名の生徒と1名のスタッフメンバーの小グループとで行動できる。公共交通機関に乗り座席を選び、小冊子を読んだり、スタッフや級友と会話をしたりできる。自分が降りるべきバスの停留所を見つけその場所で降りられる。

彼女は、買い物が大好きである。浪費することはない。少しの助言で漫画とかテーマブック、飲み物、スナック菓子を選択し購入できる。図書館カードを持って月に2回は図書館を利用する。時々姉と一緒に映画館へも行く。授業の一環で、ある映画のプロダクションへ行ったこともある。

4. 教室での行動
教室にはA用の机があるが、机上が様々な活動で散乱していることが多い。彼女が興味のある活動を選択している場合、30分間は援助なしで活動できる。また、数唱、分類、ファイリングの課題訓練を強化を随伴されながら30分間は自分の机で課題をすることができる。機嫌が悪いときは、行動は低下しスタッフの援助を受けることが難しくなる。

【要約と提案】
Aは、認知機能が5才から6才程度の中度発達遅滞とてんかん性異常波のある17才の少女である。彼女の相対的に優れている点は、地域社会と余暇時間の活動に現われており、相対的に弱い点は、受容言語と表出言語である。ほとんどの領域において、前回の評価と同様のレベルを示しているが、彼女の日常行動と教室の成績は、過去3年間を上回る大幅な改善がみられた。

Aには、Santa Clara高校での現在のプログラムを継続し、地域社会や学校を基本にした環境で自助行為、地域社会、コミュニケーション、認知、運動スキルに焦点化した指導の強化を継続することを提案する。彼女は、現在の話し言葉/言語が、地域社会環境で適切となるようなスキルをめざし続けることも提案する。さらに、学校や交通機関の利用についての行動マネジメント計画がさらに更新されて、指導が継続されることも提案する。

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