初めに言葉があった その44 デフレからの脱却  その6 「AD/HDは作られた病」

“注意欠陥多動障害(Attention Deficit/Hyperactive Disorder: AD/HD) の父”といわれるのが、アイゼンバーグ(Leon Eisenberg)という児童精神科医です。臨床心理学者でもあります。2009年に亡くなるまで、アメリカにおける児童精神医学界で活躍した人です。特にアメリカ精神医学会が発行している「精神障害の診断と統計の手引き(DSM)」や世界保健機関によるInternational Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems(ICD-10)の作成にも貢献しました。

2013年5月にアイゼンバーグが「AD/HDは作られた病であることをAD/HDの父が死ぬ前に認める」という記事がでました。アイゼンバーグが亡くなってから4年後のことです。アイゼンバーグは、AD/HDの研究や過剰な診断と相まって薬の売上を増加させた、と述懐したとあります。注意欠陥多動障害もまたインフレを起こしていたのです。

アイゼンバーグは言います。「実際に精神障害の症状を示す子供は存在するものの、過剰な診断と製薬会社の影響とによってAD/HDの患者の数が急増している。」 AD/HD患者の数が急増しているのは、AD/HDは過小評価されて、小児科医、小児精神科医、保護者、教師たちに思い込ませた製薬会社の力と、それまでは正常と考えられていた多くの子供がAD/HDと診断されたことによるものであるという衝撃的な発言です。

アイゼンバーグは、アメリカでは、製薬会社と医者との良好な関係によって子供たちが流行のようにAD/HDと診断され、薬物治療を受けている」ことに警告したのです。彼は、「AD/HDとは虚構の疾病である (AD/HD is a fictious disease.)というのです。一つの疑問ですが、なぜ、著名な研究者が死ぬ前に過剰な診断と薬の処方の増加に警告しなかったのかということです。

何事も恣意的に引き起こされることは恐ろしいことです。輪転機を回してやみくもに紙幣を印刷することもそうです。いくらデフレからの脱却とはいえ、給料も上がらず物価が2%上昇してお金の価値が下がっては若年労働者や定年退職者には堪えます。診断のインフレとは、正常を疾病として薬の処方が増え、教育サービスが増え、障害年金が増え、製薬企業の利潤が増えることです。そしてなによりも恐ろしいことは、子供を薬漬けにすることです。双極性障害(躁うつ病)(bipolar disorders) で薬漬けになり命を絶った高校生を知っています。
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