ナンバープレートを通してのアメリカの州 その十 ウィスコンシン州–America’s Dairy Land

ウィスコンシン州(Wisconsin)は北はカナダと国境を接し、東はミシガン湖が広がり、西はミネソタ州、南はイリノイ州に囲まれています。大昔、氷河が覆い、そのため土をけずって大小の湖をつくりました。氷河は石や岩を運びながらなだらかな丘陵もつくってきました。岩に削られた湖があちこちにあります。そのために平たい農場は少なく、酪農が盛んになりました。北海道の富良野や帯広のあたりに似た景色が広がります。

Wisconsin red highlighted in map of US

気候は内陸のために寒暖がはっきりして、夏は30度以上になることもしばしばです。冬の寒さといえば筆舌に尽くしがたいような日が何日も続きます。家の中は暖房がきいてT-シャツで過ごせます。スポーツといえばアイスホッケーが盛んで、どの高校にもホッケー部があります。バレーボールも有名で2021年の全米女子バレーボール大会でウィスコンシン大学はネブラスカ大学を破り優勝しました。冬の楽しみ方は皆が知っています。
 
ナンバープレートには「アメリカの酪農の地」(America’s Dairy Land)と記されています。そして納屋とサイロが描かれています。乳製品で有名な州です。1997年のスーパーボウルを制したグリーンベイパッカーズ(Greenbay Packers) の本拠はウィスコンシン。そのときファンがかぶったのがチーズヘッド(cheese head)というチーズをかたどった帽子でした。沢山の種類のチーズが楽しめます。ワイン、麦酒に欠かせないおつまみです。酪農の地ですから、ステーキもまた格別です。分厚いフィレミヨンはいいです。肉を焼いてステーキソースをかけるのが一般的な食べ方です。

酪農のウィスコンシン州

ウィスコンシンは北欧やドイツ、ポーランドの移民が多い州です。そのためソーセージ類もまた沢山の種類がつくられています。スパイスをきかせた肉がたっぷりな巨大なソーセージは、「アメリカの酪農の地」に恥じないものです。

アメリカ合衆国とニックネームの由来 その53 Wisconsin Gourmet

ウィスコンシン州の大抵の街は小さな田舎町です。人々は衣食住の伝統を引き継いでいます。母国の独立記念日を今でも祝っています。たとでば、ノールウェイの子孫が住む街があります。マディソンの南一時間のところにあるストートン(Stoughton)がそうです。住民は5月の第二日曜日は独立を祝います。町全体がお祭りで、スカンジナヴィア(Scandinavian)料理がふるまわれるのです。ジャガイモを中心とした料理でスモアガスボード(smorgssbord)といいます。テーブルに料理を数多く並べて相伴する形式で、スモークサーモンや鰯、オリーブ油がたっぷり入ったニシンの漬け物も美味です。

ウィスコンシンの最大の町はミルウオーキー(Milwaukee)。その街中や郊外にもポーランドやイタリア人が住み着きました。ソーセージは大きくて種類が多く、スパイスも効いていてそれはそれはご馳走です。一本食べるとお腹がかなりふくれます。パンもパスタ同様。種類とスパイスが違います。ドイツ系の地ビールも種類が多く安いのがいいです。

ここ50年くらいに東南アジアからの移民も増えています。カンボジア、ベトナム、タイ料理など、どこにいってもこうした食べ物を賞味できます。白人はこうしたエスニックな料理を箸を器用に使って食べ歩いています。安くて美味しいせいか、レストランは家族連れなどでいつも満員。多様性を感じさせてくれます。

アメリカで食事をすると、ヨーロッパやアジアを旅行している気分になります。「アメリカの料理はまずい」というのは大変な間違い。通り一辺の旅ではこうした勘違いや誤解をして、その国の印象を決めがちです。誠に気の毒で哀れなことです。このような旅をしてはいけないのです。