懐かしのキネマ その82 【お熱いのがお好き】

1958年に製作されたコメディ映画の傑作の一つといわれます。原題は【Some Like It Hot】。なんといってもマリリン・モンロー(Marilyn Monroe)が、酒場で「I Wanna Be Loved by You」を歌う場面が一世を風靡します。偶然殺人事件を目撃してしまった2人のバンドマンは、追われる身になります。カツラと化粧を施し女性バンドの中に潜り込み、ギャングの目を欺こうとすることからシーンは始まります。

1929年2月のシカゴの麻薬街です。ジョー(Joe)というサキソフォーン(saxophone)演奏者とジェリー(Jerry)というベース(double bass)演奏者がいます。2人は、ギャングスターであるスパッツ(Spats Colombo)が経営するもぐり営業の酒場で働いています。チャーリー(“Toothpick” Charlie)という男の密告で警官が酒場を強襲します。ジョーとジェリーは逃走します。二人は、チャーリーが聖ヴァレンタインデイ(St. Valentine Day)の虐殺のように、撃たれてしまうのを目撃します。スパッツとギャング仲間は2人が逃走したことを知ります。ジョーとジェリーは街を抜け出し、変装してジョセフィーンとダーフィン(Josephine and Daphne)と名乗り、スウィートスー&シンコペーター(Sweet Sue and her Society Syncopators)という女性バンドに潜りこみます。そこで2人は、女性歌手でウクレレ奏者であるシュガー・ケイン(Sugar Kane)に出会います。

Sugar Kane

ジョーとジェリーは変装しながらもシュガーに惚れていきます。シュガーは、ジョーに自分を利用しようとした男性のサキソフォーン奏者と縁を切っていると伝えます。そして、フロリダ(Florida) で優しそうで眼鏡をかけた百万長者の男と出会いたいというのです。フロリダヘの列車の中で、禁止されたパーティが開かれ、ジョセフィーンとダーフィンはシュガーと親密になります。しかし、女性の変装をしており、シュガーに言い寄ることができないのが残念です。

マイアミ(Miami)に着くと、ジョーは二度目の変装をして、自分は百万長者でシェル石油の御曹司だといってシュガーに求婚します。彼女には無関心を装うのです。そこに百万長者でマザコンの年いった男、オズグッド・ジュニア(Osgood Fielding III)がダーフィンを追いかけ回します。ダーフィンが断るたびにオズグッドの食欲は増すといった塩梅です。オズグッドは自分のヨットでのシャンパンディナーにダーフィンを招待します。

ジョーはジェリーをオズグッドの相手をさせておいて、自分がオズグッドのヨットにシュガーを載せて楽しみます。ヨットの上で、ジュニアに変装したジョーは、自分には心理的なトラウマがあってインポであるが、自分を癒してくれる女性なら喜んで結婚するとシュガーに言い寄るのです。

シュガーはジュニアの精力をかなり掻きたてます。他方、ダーフィンはオズグッドとタンゴ「ラ・クンパルシータ(La Cumparsita)」を終日踊るのです。ジョーとジェリーがホテルにもどると、ジェリーは、ダーフィンに扮した自分にオズグッドが求婚したのでそれを受け入れたというのです。オズグッドの計略を暴いて、即時に離婚し多額の慰謝料をせしめるつもりであることも語ります。

Josephine, Sugar & Daphne

ホテルでは「イタリアオペラのフレンド」(Friends of Italian Opera) と題する会議が開かれます。実はこの集まりは、リトル・ボナパルト(Little Bonaparte)という大物の出席による全米の犯罪組織の集会です。その会場で、スパッツとその一味は、長い間探し続けていたジョーとジェリーを発見します。恐れた2人はバンドを辞め、ホテルから去ろうとします。ジョーは、シュガーに打ち明け、自分は父親の選んだ女性と結婚するためにベネズエラ(Venezuela) に行かなければならないと告げます。

ジョーとジェリーは犯罪組織の晩餐会でテーブルの下に隠れスパッツから逃れます。リトル・ボナパルトはスパッツとその一味を晩餐会で殺します。ジョーとジェリーはその場の目撃者となりホテルから逃れます。ジョセフィーンに変装したジョーは、ステージ上で失恋の悲しみを歌うシュガーを見上げます。そしてステージにのぼり、シュガーにキスをします。シュガーはようやくジョーがジョセフィーンであり、ジュニアであることを知ります。

ジェリーはオズグッドに彼のヨットでジョセフィーンとダーフィンをつれ出すようにと説得します。シュガーは、演奏しているステージを飛降りて、今しもジェリー、ジョー、オズグッドを乗せて出帆するオズグッドのヨットに飛び乗るのです。 ジョーはシュガーを欺いていたこと、彼女の意に添えなかったことを謝ります。シュガーもジョーと別れると伝えます。一方、ジェリーは、ダーフィンとオズグッドが結婚できない理由が喫煙と不妊症のためであるといいます。オズグッドはジョーとジェリーを解雇します。そして、自分はダーフィンと結婚するつもりだと主張します。憤慨したジェリーはかつらをとり、自分は男であると宣言します