クリスマス・アドベント その10 預言者イザヤという名前

1977年に国際ロータリー財団より奨学金をいただき、ウィスコンシン大学に留学したときのスポンサーがロバート・ジェイコブ(Dr. Robert Jacob)という医師でした。日本語読みではさしずめヤコブ氏となります。長年ミルウオーキー(Milwaukee)の郊外で開業していました。専門は脚の整形外科。熱心なユダヤ教徒でありました。いつも住まいの側にあるシナゴーグ(Synagogue)で長老(Elder)として活躍されていました。次女がウィスコンシン大学の看護学部を卒業したとき開いたパーティに奥様とご一緒に参加してくださいました。残念なことに数年前に召されました。

これまでMrs. Jacobからは、ご子息らの成人の儀式、バー・ミツヴァ(Bar Mitzvah)の案内、9月には新年ロシュ・ハシャナ(Rosh Hashana)の祝いを頂戴しています。一度、ジェイコブ氏に連れられてシナゴーグ(synagogue)を見学させていただいたことがあります。シナゴーグとはユダヤ教の会堂のことです。キリスト教の教会の前身といえます。礼拝はもちろん祈りの場であり、結婚や教育の場、さらに文化行事などを行うユダヤ人コミュニティの中心的存在となっています。もともとは聖書の朗読と解説を行う集会所でありました。会堂に入るときは、男子はキッパ(kippa)とかヤマカ(yarmulke)と呼ばれる帽子を頭に載せることになっています。

ユダヤ教徒はタルムード(Talmud)と呼ばれる教典を学び行動するように教えられます。タルムードは生活や信仰の基となっています。家庭では父親の存在が重要とされます。率先して子どもに勉強させタルムードなどを教えます。子どもを立派なユダヤ人に育てたものは、永遠の魂を得ると信じられています。

クリスマス・アドベント その4 イザヤ書とイマヌエル

さてイザヤ書(The Book of Isaiah)は、預言者イザヤ(Isaiah)の名によって残される旧約聖書中最大の書である。その成立は複数の者によるとされ,内容からみて2部に分けられる。

第1部1〜39章は、紀元前8世紀頃おもに預言者イザヤによって書かれたとされる。主の懲らしめと裁きが中心に描かれている。40章で「慰めよ。慰めよ」という言葉がある。40章から66章は、慰めと回復のメッセージといわれる。具体的には、ユダ(Judea)とエルサレム(Jerusalem)に対するメッセージとなる。ユダが主から離れているので懲らしめられるが、最後には赦され救われるという展開になっている。

北イスラエル王国(Northeran Israel)はアッシリア(Assyria)の攻撃を目前に控えていただけでなく、南ユダ王国(South Judea)も崩壊するのは時間の問題だった。そうした緊迫した情勢を背景に、イスラエル(Israel)の民の多くは一国も早く国大へ脱出することを望んでいた。アッシリア帝国による侵略の脅威に曝される中、神のみ告を信じていた。

イザヤは「神が我らとともにおられる」を意味するイマヌエル(Emmanuel)という言葉で語る。イマヌエルとは驚くべき指導者、力ある神の象徴でありイスラエルが救われて平和の道を歩むことができると説かれる。

イザヤは、「救いは主のもの」、あるいは「ヤハウェ(Yahweh、Jehovah)は救いなり」という意味とされる。人間が救われるのは、人からでも行いからでも富からでもなく、主からなのだ、ということを最初から最後に至るまで一貫して教えている。イザヤ書は読み応えのある重たい内容である。

isaia1  預言者イザヤGiovanni Battista Tiepolo - The Prophet Isaiah