アメリカ合衆国の州を愛称から巡る その74 アメリカの自治領 その三 グアム

マリアナ諸島(Mariana)の南端に位置し、ミクロネシア(Micronesia) では最大の島がグアム(Guam)です。その大きさは淡路島よりやや小さいようです。南北に細長く、北部は高原で南部は密林に覆われています。1521年に世界一周途上のマゼラン(Magellan) によって発見され、1668年に正式にスペイン領となります。米西戦争の結果、1898年にアメリカ領となります。1941年から3年間は日本軍が占領します。現在は、太平洋の交通の要所で、軍事的、経済的な重要性を有しています。今はアメリカの準州で主都はアガニア(Agana)となっています。住民はチャモロ族(Chamorro)です。

チャモロの家族

グアムにおいて最初に宣教活動をしたのはフランシスコ派のカトリック教会です。イエズス会のディエゴ・ルイス・デ・サン・ビトレス神父(Diego Luis San Vitores)は1668年からグアム島で約4年間、布教に献身し殉教した伝説的な人物です。ビトレスは、グアムの中に会堂を建てます。その最も大きく最も格式が高いのがハガニア大聖堂(The Dulce Nombre de Maria parish)です。場所は、グアムの首都ハガニアにあるスペイン広場の東側に位置しています。1672年にビトレスは、酋長の子どもに洗礼を強行したとして殺害されます。それが契機となり、グアムやマリアナ諸島は、チャモロとスペイン軍の間の戦争が勃発し、それが終結するまでに 20 年以上かかったといわれます。

Map of Guam

隣接する北マリアナ諸島が信託統治を経て1978年に実質的なコモンウェルス(Common Wealth)と呼ばれる準州となります。その動きを受けて、グアムでは1980年代から1990年代前半にかけて、プエルト・リコや北マリアナ諸島と同様の自治のレベルを付与したコモンウェルスに向けた推進運動が起こります。しかし、連邦政府はグアム準州政府の提案したコモンウェルスへの変更を拒否します。運動は徐々にアメリカ本国からの政治的独立、国家としての独立、唯一の独自領土として北マリアナ諸島との連合、あるいは現在合衆国の一州となっているハワイとの連合に軸足を置いているといわれます。日本、アメリカによる統治を経て、現在もアメリカの未編入領土であるグアムは、未だにコロニアリズム的状況(Colonialism)から脱却できていないといえそうです。