「アルファ碁」(AlphaGo) その十六 碁盤と小宇宙

碁盤は、広大な宇宙を二次元で投影したものと言われています。宇宙の縮図というと大言壮語かもしれませんが、黒石という「陰」と白石という「陽」で勝負を競うのです。ですが、小宇宙といわれるだけあって、あまりにも計算できない要素が多いのが碁です。「陰」と「陽」の勝負に運が入り込む余地は無く、ほとんど芸術にも似た石の配置と形ができ上がります。盤上では、俗に「感性七割計算三割」などと言われるほど、対局者の想いが表現されます。

「陰陽思想」と碁との関連を調べてみます。ここは森羅万象の世界。すべての物質や道理は「陰」と「陽」に分けられるという中国の思想だそうです。大雑把に言うと「陰」は「物質的かつ大きく冷たくて動かない」、「陽」は「非物質的で小さく温かくて動きがある」と分類されます。二つは表裏一体。互いに影響し合い、あくまでも相対的な関係にあるというわけです。

韓国の国旗にも「陰陽思想」が表されています。赤と青を組み合わせた円が太極といわれ、太陽と月、天と地、善と悪、男と女というように、二つのものが合わさって調和を保つという中国古来の易学の宇宙観を表しています。「宇宙の万物が陰陽の相互作用によって生成し発展する、という大自然の真理を形象化したもの」が韓国国旗、別名太極旗といわれます。

碁盤ですが、九つの星があります。その中心は天元と呼ばれ大極を表します。大極はなにものも定まっていない状態です。天元を拠点として四季の回転を意味するように東から西へ、立春から大寒へと二十四節気を示します。「黒石」と「白石」の順番で打たれます。最初に現れたのが陰。陽はその後に現れたものとされています。陰のほうが尊いとされているために、黒が先に打たれると考えられます。碁を打つことは宇宙を創造すること、といったら大分大袈裟になりますね。

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「アルファ碁」(AlphaGo) その十三 呉清源九段と定石

超一流の棋士は自分だけの「悟り」があるといわれます。その一つが「いかに打つか?」と自問することだといいます。自らこの疑問を抱かないと創造力が生まれないというのです。「悟り」とは個性から生まれるのかもしれません。

「いかに?」という質問をするのが大切だという常套句は誰にもあてはまる格言です。興味とか関心は「いかに?」という問いが育むものです。碁に関していえば、ただ強い人の手を真似ても強くなれないし、勝つことは難しいのです。碁で上手になるための敵は自らの固定観念に捕らわれることだ、とよくいわれます。自分の形に執着し、その殻から抜け出せないということです。相手は、こちらが覚えている形とか定石にそって打ってはくれないのです。定石の変化を勉強していないと、間違った手を打ちがちです。

呉清源九段は、昭和の日本の棋界を風靡した偉大な棋士といわれています。氏曰く「定石は50覚えれば十分」といった名句を残しています。陰陽思想を取り入れ、「碁盤全体を見て打つ」ことを提唱します。「森羅万象のありとあらゆる物は、相反する陰と陽の二気によって消長盛衰し、陰と陽の二気が調和して初めて自然の秩序が保たれる」というのです。陰は黒石、陽は白石を表します。

定石という知識はいわば碁でいえば常識です。定石を増やすことによって、打ち方の対応が柔軟にできるのです。しかし、定石という知識は浅いとすぐ失われます。新しい定石にとって代わられる可能性があるのです。定石はしっかりと学んでさらに進化した定石を勉強することです。

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