失独失能

中国では現在、高齢化、少子化、失能化(生活能力の喪失)、空巣化(老人だけの世帯)という4つの現象が並行して進行しているといわれます。夫婦が子供から独立して生活するのが困難な状態にあるというのが、「失独失能」の意味のようです。

失能化・半失能化した高齢者は2014年時点で4,000万人に達し、高齢者全体の19%に達し、また空巣世帯は高齢者の50%に達しているといわれます。大中都市に限れば70%に達しているとの報告もあります。このように地域ごとの失能化状況の違いも大きく、政府の対応を難しくしているといわれます。

時間が経つにつれて、「一人っ子」政策の負の影響が大きく現れているのが中国で発表されている論文や新聞紙で報じられています。高齢者の中で、特に一人っ子の両親は、子供が結婚して独立したとき、自分たちを世話してくれるだろうという期待を持てなくなっています。子供が複数いたときは、家族に両親とか障害のあるものがいたとしても子供が交代で世話をする習慣がありました。

政府は、こうした急速に進む高齢化社会の需要に対して、公共の介護福祉施設を増設すると同時に、これまでと違う新しい方法で対応する政策を打ち出しています。例えば、コミュニティ力を活かした家庭介護と社会介護の連携、「居家養老」と呼ばれる在宅養老・介護環境の整備などです。

特に、コミュニティ内に高齢者サービス拠点を置いて、高齢者が買物、清掃、付き添い、看護、緊急救護などといった各種サービスを利用しやすいようにするという考えです。また、生涯学習とか娯楽やスポーツ、レクリエーションなどといった高齢者のニーズに応えたコミュニティ内のサービスも振興しようとしています。

コミュニティと家庭の力を活用する養老・介護体系を支えるため、より多くの企業にこの分野に参入促そうと税制上の優遇措置を考えたり、補助金を出すなどにも力を入れています。こうした政策に呼応して、シルバービジネスに関心をもつ企業や経営者が増えてきています。私が指導した中国からの留学生も福祉資格取得養成施設の立ち上げを北京市内で準備しているとの便りが届いています。高齢化のスピードがどの国よりも速いのが中国です。官民が一体となって高齢者社会への対応に追われています。我が国も同じような状況にはあります。誰もが迎えるのが高齢化です。

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アメリカ合衆国の州を愛称から巡る その51 『Lone Star State』とテキサス州

アラスカ州に次いで全米第2位の広さのがテキサス州(Texas)で、日本の面積の約2倍にあたります。1836年から1845年までの間、テキサス共和国(Republic of Texas)という独立した国家でもありました。その時代から使用されていた白い星を一つあしらった州旗から「ローン・スター・ステイト (Lone Star State) 」という愛称もよく知られています。人口ではヒューストン(Houston)が州内で最大で、他にサンアントニオで(San Antonio)が州内第2位、ダラス・フォートワース(Dallas Fort Worth) などの大都市があり、州都はオースティン(Austin)となっています。

River Walk, San Antonio

テキサス州は西部開拓時代の雰囲気をも色濃く残しています。南北戦争後のテキサス州を繁栄させた産業は牛の牧畜でした。牧畜業の長い歴史があるためにテキサスは、カウボーイのイメージと結び付けられることが多いようです。Ten Gallon Hat と呼ばれるカーボーイが被る帽子があります。広大で多様性に富むテキサス州は、事実、テキサス州の風景は、不毛の荒れ地から海水浴ができる海岸線、緑が生い茂る山々、広大な草原まで多岐に渡ります。

サンアントニオには、数百年の歴史を持つスペインの伝道所、アラモ(the Alamo)があります。アラモは 1800 年代に長きに渡り決戦の舞台となりました。1836年にテキサス共和国として一方的に独立を宣言しますが、同年メキシコ軍の進軍により入植者がたてこもっていたサンアントニオのアラモ伝道所の砦が陥落し、守備隊は全滅します。かの有名な「アラモの戦い」です。サンアントニオには人気が高いリバー・ウォーク(River Walk)などがあり、年間1,000万人以上が訪れる全米有数の観光都市としても発展しています。

The Alamo

アメリカ航空宇宙局 (NASA) の宇宙センターであるジョンソン宇宙センター(Johnson Space Center)はヒューストンにあります。有人宇宙飛行の訓練、研究および飛行管制を行っています。テキサスでは今日、フォーチュン500に入る企業の数では50以上で全米のどの州よりも多くなっています。フォートワースは、20世紀初頭、石油が噴出し始め、1970年代終盤に再び噴出し、運送業、商取引の中心地となります。

20世紀半ばには大学に大きな投資をしたこともあり、多くのハイテク企業を含む多様な経済に発展します。テキサス大学オースティン校(University of Texas, Austin)とテキサスA&M大学(Texas A&M University)はテキサス州の旗艦大学となっています。どちらもテキサス州憲法で設立され、多額の恒久的大学基金の枠を持っています。フォートワースにあるテキサス・クリスチャン大学(Texas Christian University:TCU)も教育や研究で有名です。ライス大学(Rice University)も名門私立総合大学で試験や成績で最難関校となっています。

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