ナンバープレートから見えるアメリカの州ワイオミング州・Equal Rights State

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ワイオミング(Wyoming)州のナンバープレートには「平等の州 (Equality State)」とか「カウボーイ州 (Cowboy State)」と印字されています。北にモンタナ州、東にサウスダコタ州とネブラスカ州、南にコロラド州、西にユタ州とアイダホ州と境をなしています。州都はシャイアン市(Cheyenne)です。全米で最も人口が少な州です。ワイオミングとは、アルゴンキン語族(Algonquian)の言葉で「大平原」を意味します。州の東側3分の1はハイプレーンズと西側3分の2はロッキー山脈東部の山岳地帯と丘陵の牧草地帯が広がります。

License plate of Wyoming

ワイオミング州の歴史です。18世紀にヨーロッパの探検家たちが初めて訪れたとき、ワイオミングには、すでにショショーネ族(Shoshone)を含む平原インディアンが住んでいました、オレゴン・トレイル(Oregon Trail)とオーバーランド・トレイル(Overland trails)が横切っていました。ルイス・クラーク探検隊(Lewis and Clark Expedition)は、この地域を通過しませんでしたが、探検隊の一人、ジョン・コルター(John Colter)は探検隊から外れて ワイオミングで過ごしたといわれます。

Shane

ワイオミングは 1868年にワイオミング準州(Wyoming Territory)が設立されるまで、アメリカのいくつかの準州に分かれていました。やがて1868年にワイオミングは準州となります。1869年に女性参政権を採用し、1889年には憲法に女性参政権を盛り込んだ最初の州となりました。州のニックネームは平等の州『Equality State』と少々地味なフレーズです。それには次のような事実があります。すなわち1870年、ララミー(Laramie)という街では女性が初めて陪審員(jury)を務め、同年ララミーではメアリー・アトキンソン(Mary Atkinson)が女性初の令状や逮捕、差し押さえを執行する裁判所職員(court bailiff)となり、同年サウスパスシティ(South Pass City)ではエスター・モリス(Esther Morris)が女性初の治安判事(justice of the peace)になります。1925年に全米で最初の女性知事としてネリー・ロス(Nellie Ross)が就任します。これら女性に与えられた権利の故に、ワイオミング州は「平等の州」と呼ばれるようになりました。

Esther Morris

一体、どうしてワイオミング州では女性が活躍するようになったかは不明です。通常、ワイオミングのような田舎の州は農業や酪農に従事する人々が多く、考え方は伝統的で保守的なのです。しかし、女性参政権を主張していたモリスを指導者に選ぶという大らかさが州民にあったからだろうと察します。「ワイオミングというアメリカ合衆国で最も若くまた最も裕福な準州の1つが、言葉だけでなく行動で女性に平等な権利を与えた」というのは、エスター・モリスの才能に依ったことも事実のようです。

ワイオミングには、アメリカでも特に有名な3つの国立公園、イエローストーン国立公園(Yellowstone National Park)、グランドティトン国立公園(Grand Teton National Park)、氷河国立公園(Glacier National Park)があります。こうした国立公園は、アウトドア愛好家や冒険家に大人気です。ワイオミング州では広大な美しい大地をクマ、バイソン、エルク(elk)、コヨーテ(coyote)などの野生動物が生息して大事に保護されています。氷河国立公園は「大陸の王冠」(Crown of the Continent)と呼ばれ、今も26野氷河が存在しています。グランドティトン国立公園は、1953年に制作された西部劇映画「シェーン」(Shane)のロケ地となったところです。流れ者シェーンと開拓者一家の交流や悪徳牧場主との戦いを描いた世紀の名作です。シェーンを演じていたのは名優のアラン・ラッド(Alan Ladd)でした。

Geyser of Yellowstone

近代の経済では家畜が依然として重要ですが、 観光業も重要となっています。州の主要な産業は鉱業と農業。鉱業ではウラニウム、天然ガス、メタンガス等を産出し鉱業の影響力もますます大きくなっています。農業では小麦や大麦、馬草、サトウキビが主たる生産物です。
(2024年5月24日)