アメリカ合衆国の州を巡る その46『要石の州』とペンシルヴァニア州

ペンシルヴァニア州(Pennsylvania)は、独立戦争時代の史跡、フィラデルフィア(Philadelphia)やピッツバーグ(Pittsburgh)のような大都市、アーミッシュ (Amish) によって占められているいくつかの農業地域やかつての強力な産業史で有名な州です。

ヨーロッパ人として最初にペンシルヴァニアに入ってきたのはスウェーデンやオランダの入植者でした。ペンシルヴァニアと命名したのは、イングランド王チャールズ2世(Charles II)。やがてクエーカー教徒(Quaker)でイギリス人のウィリアム・ペン(William Penn)がペンシルヴァニア州を整備し「シルヴァニア(Sylvania)」と名付けたものをウィリアム・ペンの父ウィリアム・ペン卿に敬意を表して改称しPennsylvaniaとなりました。ペンシルヴァニア州は、アメリカ合衆国において最も歴史のある州の一つとなりました。そのため、州の愛称は「要石の州」(Keystone State)と呼ばれます。 「Quaker State」クエーカー教の州とも呼ばれます。

Pennsylvania Dutch

ペンシルヴァニアは、18世紀中頃アパラチア(Appalachian)炭田,19世紀中頃には油田が発見され,五大湖周辺の鉄鉱石の利用,運河,鉄道などの発達に伴い,ピッツバーグやベスレヘム(Bethlehem)を中心にアメリカ有数の鉄鋼業地域となりました。ペンシルヴァニアといえば、フィラデルフィアを取り上げなければなりません。ニューヨークとワシントンDCの間に位置するこの街は、独立宣言がなされた地であり、合衆国憲法が立案された場所でもあります。独立歴史公園では独立宣言のときに打ち鳴らされた自由の鐘(Liberty Bell)を見ることができます。ピッツバーグはかつて鉄鋼業の中心地として栄えた都市です。

Robert Lee

州南東部のランカスター(Lancaster)を中心とする田園地帯には、ペンシルヴァニア・ダッチ(Pennsylvania Dutch)と呼ばれる人々の集落があります。入植・建国当時の佇まいを多く残しています。その暮らしぶりは、「プレーン」(Plain)と表現されることがあります。何も飾らず、何も付け加えない、あるがままの暮らしをしているといわれます。17世紀から18世紀にかけてドイツ語圏から合衆国に移住したゲルマン系ドイツ系の子孫や言語がペンシルヴァニア・ダッチです。英語の”Dutch”はドイツ語の”Deutsch”に由来し、古くはオランダ人ではなくドイツ人のことを指します。アーミッシュ(Amish)やメノナイト(Mennonite)といったクエーカー教徒の社会では第一言語として話されています。

Gettysburg

南北戦争の転換点となったといわれるゲティスバーグの戦い(Battle of Gettysburg)の古戦場があります。ここが激戦地となったのは、鉄道や主要道路が集まる交差点であり、そこを確保できれば戦争を有利に進められるからだったのです。つまりゲティスバーグは補給と部隊増強の要所だったといえるでしょう。3日間の激戦で北軍は南軍を撃退し、それによって北軍は南部への侵攻ルートを確保することができたといわれます。その戦いの4ヶ月後の1863年11月1日に行われた戦没者墓地奉献式で、合衆国大統領リンカンが演説を行います。それが「ゲティスバーグ演説 」(Gettysburg Address)です。