【風物詩】積極的差別是正措置(Affirmative Action) その六 大学の見解

ノースカロライナ大学は、1955年まで黒人の学部生を受け入れませんでしたが、連邦裁判所の命令によって変更します。これとは対照的に、ハーヴァード大学は1978年、最高裁が同校の人種への配慮を、多様な学生を確保するために同校が拠り所とする他の特徴に類似するものとして引用し、差別是正措置プログラムのモデルとなりました。つまり、地理的条件や農家育ちであること、科学からスポーツまであらゆる分野で特別な業績があること、いわゆるレガシー学生であること、ハーヴァード大学同窓生息子や娘であること、などを考慮するというものです。

実際、差別是正措置が廃止されたところでは、マイノリティ、特にアフリカ系アメリカ人の入学者が激減しているのが現実です。2016年と2017年にカリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)の学部長代理を務め、現在はニューヨーク大学(New York University)法学部のメリッサ・マーレイ(Melissa Murray)教授は次のようにコメントします。「アフリカ系アメリカ人の学生数がすぐに減少したのは、入試方針の変更と同時に、アフリカ系アメリカ人の学生がそのような状況下でバークレー校に行きたがらなかったことが重なったのだ」と彼女は言います。「人々はスポットライトを浴びたくないのです。数には一種の安心感があり、そのような状況下で学生を募集するのは、非常に困難でした。」

University of California, Berkeley

バークレー校のジェローム・カラベル(Jerome Karabel)教授は、「この問題は、国家の安全保障に関わる問題であるため、非常に微妙である」といいます。同様の論理が、マイノリティを採用しようとする警察にも適用される可能性があり、事実上白人だけの部隊が黒人の多い町を取り締まることにならないようにするためである、とカラベル教授は指摘します。しかし、全米の大学にとって、多様性はもはや人種を考慮する理由としては受け入れられないだろうという見方をします。