ナンバープレートを通してのアメリカの州  その二十八 ニューハンプシャー州–Live Free or Die

ニューハンプシャー州は大西洋側の東海岸にあります。綴りはNew Hampshierです。いわゆるニューイングランド地域の一部で、北部及び北西部でカナダのケベック州(Quebec)、東部はメイン州(Maine)、南部はマサチューセッツ州(Massachusetts)、そして西部はバーモント州(Vermont)と隣しています。アメリカにはNewが付く州や町がたくさんあります。州ではNew Mexico, New Jersey, ご存じNew York, New London, New Berlin, New Heaven, という街もあります。イギリスやヨーロッパ各地からの移民が開拓したことを物語ります。

Town of Portsmouth

ニューハンプシャーの州都はコンコード(Concord) という小さな街です。コロニアルスタイル(Colonial style)といわれる植民地時代の木造家屋のデザインを示します。この州で忘れられないところがポーツマス(Portsmouth) という街です。日露戦争が終わり、当時の大統領ルーズベルト(Theodore Roosevelt) の仲介で講和条約が締結された街、それがポーツマスです。実に小さな港町です。こんなところで条約が結ばれたのか、と頭をかしげたくなるようなのんびりとした所です。街全体の建物もコロニアルスタイルです。

Downtown Portsmouth

講和会議における日本の代表は外務大臣の小村寿太郎、ロシアは元大蔵大臣のセルゲイ・ウイッテ(Sergei Witte)です。ポーツマスの博物館に当時の交渉の様子を報道した写真や新聞記事が飾られています。大男のウイッテが小男の小村を威圧するイラストがあります。当時ロシアはヨーロッパの大国、日本はアジアの小国でした。アメリカは太平洋の利権があって日本に同情的な姿勢であったことを伺わせます。

日露講和会談

ニューハンプシャーのナンバープレートには「Live Free or Die」と描かれています。「自由を与えよ、さらば死を」という意味です。ニューハンプシャーは最初にイギリスの統治を離脱し独立への歩みを踏み出します。独立宣言後、最初の13州の一つともなります。さらに特筆すべきことは合衆国の州として最初に憲法を制定した州となったことです。この歴史を踏まえているせいでしょうか、大統領選挙において最初に予備選挙が実施されるのがこの州でもあります。その後の各州での大統領選挙を予測するうえで重要な選挙となっています。