【話の泉ー笑い】 その三十四 落語 その9 「紙入れ」と間男

洋の東西を問わず、男と女の関係は、落語の最も笑いを誘う話題です。その一演目が「紙入れ」です。間抜けな旦那と抜け目のない妻、その間で悩む小僧の物語です。

得意先の商家のご新造さんから、今夜は旦那が帰らないから遊びに来てくれと、いう手紙を本屋の新吉という小僧がもらいます。世話になっている旦那には悪い気もするのですが、迷った末に出かけて行きます。

「紙入れ」

新造は酒を勧め、今日は泊ってくれといいます。新吉は断りますが、新造はどうしても帰るというなら、留守の間に新吉が言い寄ってきたと旦那に言うと脅すのです。困ってがぶ飲みして悪酔した新吉は隣の間の布団に入ります。すぐ後から長襦袢姿になった新造も布団へ入って来ます。

さあ、という時、表の戸を叩く音、帰らぬはずの旦那が帰って来たのです。あたふたする新吉を尻目に、新造さんは落ち着いて新吉を裏口から逃がすのです。

家に戻った新吉、悪いことはできないものだと反省しているうちに、旦那から貰った紙入れを忘れたことに気づきます。中には新造からもらった手紙が入っています。その夜はまんじりともせず明かします。

翌朝、新吉は恐る恐ると旦那の家に行きます。旦那は新吉が浮かぬ顔をしているのであれこれと尋ねます。女のことだと分かり、あれこれと説教を始めます。新吉も昨夜の顛末を喋り出し、手紙のはさんである紙入れを忘れた、そこの旦那に見つかっただろうかと心配そうに言うのです。そこへ現れた当のご新造さん。

新吉とご新造

・新造 「おはよう新さん、気が小さいのねえ。それは大丈夫と思うわ。だって旦那の留守に若い人を引っ張り込んで楽しもうとするくらいだから、そういう所に抜かりないと思いますよ。新さんを逃がした後に、紙入れがあればきっと旦那に分からないようにしまってあるはずよ。ねえあなた!」
・旦那 「そうりゃあそうだ。よしんば見つかったところで、自分の女房を取られるような野郎だよ。まさかそこまでは気がつかねえだろう」